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心身崩壊爽快協会
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この世界、遠くでの続き。


この世界、遠くで彼らを想う。

もう、そんなことしかできないね。

私は遠い遠い南の島にいた。

中学生じゃ届かない、会いたくても会えない。

この島に永住することになった時、少しでも彼らとつながりを保っていたくて買ったケータイ。

連絡先は、何件も入ってる。

1年前までは考えられなかった。そんなこと。

高校生になった彼らのうちのひとりに電話をかけてみる。

いつも元気をもらってた声が聞きたくて。

〜謙也side〜

電話がかかってきた。
久々に聞く、専用の着メロ。
久々に見る、彼女の名前。
別に付き合ってるわけでもないけど、
別に好きだと伝えたわけじゃないけど。
電話取るのにえらく緊張した。

『・・・・』

「はいもしもし忍足ですー・・・・。」

声、震えてへんかな?

『・・・謙也先輩・・・。』

「おー自分かー!久しぶりやなあ、元気か!どないしたー?」

本当は出る前から分かっとったけど、わざとかかってから気づきましたよ的会話。

『・・・声が聴きたくなりました』

「なんやホームシックか?」

「ふふ・・・・そうですかね。」

声が聴きたくなったから、という彼女に心臓がバクバクいう。

受話器越しに聞こえてへんかな。聞こえてへんよな。

「あー・・・その。俺も会いたいなぁ・・・。なんてな、ははっ!」

『ははっ、私も会いたいです・・・。』

その時だった。

「それで自分、学校は・・・。」

『えっと、なんて読むんだろうこれ・・・・?(何をしているんです?こんなところで。)』

不意に、男の声がして、背筋が凍る。

「え、そこに誰かおるん?」

嫌な予感が冷や汗とともに背中を走る。

『え・・・?きゃあっ!やめてくだい!ひ、やだ!!謙也さん!謙也さ―(木手?)』

ポチャッ・・・・。


池に石を落としたような音が響いて、それきり響くのは無機質な音。


木手・・・。

別の声が漏らした、その一言に。

俺は思いつく節もなく、遠い遠い南の島には行けず。

ただただ彼女の無事を祈ることしかできなかった。




それから彼女には誰も、彼女の父親と自称する俺らの顧問まで連絡が取れず。

やっとの思いで連絡が取れたのは3ヶ月も後、6月のかなり暑い日のことだった。

かかってきた電話になんとなく出る。

初期音のままだったので、多分クラスのやつらあたりやと思って出たのが間違いだった。

「もしもし、忍たr・・・」

『忍足謙也・・・噂には聞いている・・・。』

「誰やねんお前!」

『さぁ・・・誰でしょうね、彼女の声、聞きたいでしょう?』

『謙也さん・・・』

か細く聞こえる、彼女の声を聞いただけで簡単に沸点に到達してしまった。

「おい、お前・・・彼女になんもしてへんよな!?」

『さぁ・・・?会って確かめてはどうです?』

「な・・・・!」

『今年、全国大会でお待ちしています。』


それきり切れた電話。通話が終わって画面を見ると、

1年前西日本大会で対戦して連絡先も交流したっきりだった彼の名前がはっきりと書いてあった。

「比嘉中・木手永四郎」

と。



舞台は沖縄。
自然と海とハブとマングースに囲まれた沖縄で、少女は不思議な5人と出会う。

守ってくれたのは、悪者のフリをした、優しい人。
 
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