飴玉と恋心
「勘右衛門ー」
「どうしたの悠歌、その声?」
「風邪引いちゃって、喉痛めた…つらい」
「大丈夫?」
「一応。それよりさ、小テストの試験範囲教えて」
「うん、いいよー」
勘右衛門は笑顔で了承してくれてほっとした。
今日のテストは私だけじゃ勉強しきれないくらい範囲が広いので、彼の協力が欲しくて欲しくてたまらなかったのだ。
丁寧に教えてくれる彼の言葉に時々頷く。声のせいで返答がなかなかできないのがキズだ。
「…よしっ、これで範囲全部やったね」
「ありがと。さすがい組」
「いやいや。俺が教えたんだから悠歌、絶対100点取ってね」
「もちろんっ」
彼の言葉に勢いよく返事をしてしまったので、喉が急に痛んでおもわずげほげほとせき込む。馬鹿だ、私。
そんな私を見かねたのか、勘右衛門は自分の鞄をがさごそとあさり始めた。
何をしているのかと見つめていると、おしゃれなポーチから水玉模様の包みを取り出して私に差し出す。
「ほら。お大事に、悠歌」
彼の爽やかな笑みと、私の手に渡ったレモン色のキャンディーにおもわずときめいた。
飴玉と恋心(こんな恋もある気がする)
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