タイムの一歩

私が学校に行くのは、彼に会うためだと言っても過言ではない。

同じクラスの善法寺伊作くん。綺麗な茶髪で、優しそうな目をしていて、生物が得意で、保健委員長をやっていて、友達がたくさんいて、ちょっと不運なところもあるけど。
それから、えっと…とにかくかっこいいのだ。私みたいな地味な子が近づけないくらい、きらきらとした王子様みたいなオーラを発している。

そう、彼はまさしく白馬が似合う王子様なんだ。
でも…私なんて、いくら頑張ったとしてもお姫様にはなれそうにない。


「おはよう、留三郎」

「おはよ、伊作。今日は転んだりしてないのか?」

「僕だって毎日転ぶわけじゃないよっ」


ほら、また今日も一番仲がいい食満くんと挨拶を交わしている。
食満くんは制服をいつも着崩しているけど、善法寺くんは違う。保健委員長としての立場もあるからかもしれないけど、シャツのボタンはいつもきちっと留めている。でも真面目すぎる印象は受けないのは、たぶん彼の人柄なのかな。

自分の席に着こうと善法寺くんがこっちに近づいてくる。
別に私に近づいてくるわけじゃない。そんなこと絶対ないのに…どうやら、今日の私はいつもより幾分か積極的らしい。

横を通り過ぎようとした善法寺くんに、声が上擦りながらも思わず声をかけていた。


「…お、おはようっ善法寺くん」

「おはよう、悠歌ちゃん」


善法寺くんがこっちを見て、笑顔で挨拶してくれた。
その綺麗な声が、わ、私の名前を呼んでくれた…だと!?



タイムの一歩
(少し期待してしまうじゃないか!!)


花言葉…勇気、行動力

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