視線

※六年生くの一主

やっぱり今日も自室で予習、復習をしていた藤内。
ほんとはダメなんだけど、やっぱり忍び込んで見ちゃえ。だって気になるんだもん。

天井から気づかれないようにしゅっと降りた。いくら最上級生といえども、これが一苦労。


まず最初に目に入ったのは、藤内のその凜とした姿勢。
作法委員会の仙蔵も綺麗な姿勢だけど、それを見習っているんだろうか。
その姿勢のまま筆を走らせている彼の姿は、いつもよりちょっとだけ大人びて見えた。

次になるべく死角になるように藤内の横に移動し、彼の目を見つめてみた。
まだ汚れがない大きくて丸い目、その目をこれからもできるだけ汚したくないので、あぁやっぱり私が守らなくちゃなと再確認してみた。

そして目線を少し上にずらし、その特徴的な前髪を見る。
意外と綺麗な藍色の髪をしているのに…うん、やっぱり寝癖みたいだ。
それを直さないでチャームポイントと言っている藤内は、やっぱり誰よりとびきり可愛くて格好いい!…と思っているのは私だけなんだろう。


藤内をただじっと見てること半刻、いつからだろうか気づいていたらしい彼が痺れを切らしたように教科書を閉じ、私の方に向き合った。


「…ねえ悠歌先輩、何見てるんですか」

「んー?藤内の全部、やっぱ格好いいなぁってさ」

「!!」

「好きだよ、藤内」


こんなんで毎日過ごしている私たち、一応恋人同士です。



視線
(すごく一方的です)


title by 確かに恋だった

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