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「先輩っ体育委員会から救援要請です」

「どうやらまた次屋先輩が行方不明になったみたいですね」

「…思うんだけど、学級委員長委員会って便利委員会じゃないよね?」


迷子捜索なんて仕事内容にない気がするんだけど。

そんな私の思いも、報告してくれた彦四郎君と庄左ヱ門君の耳には届いてないみたいだ。…やっぱり私が行くのか、そうなのか。



***



「三之助君…いたら返事してくださーいっ」


校内をくまなく捜索してみたが、どこにも見あたらない。
今日は珍しく左門くんは教室にいたので聞いてみたが、彼からは有力な情報は得られなかった。どうやら同じ迷子でも分からないことは多いらしい。

八方塞がりで考え込んでいた私。だから後ろで誰かが走っている音なんて、直前まで聞こえなかった。


「あ、あのっ」

「!!」


私にかけられたであろう声に振り向いてみると、そこには澄んだ色の白い髪を束ねた男の子が息を切らして私を見ていた。
まだ身長もそんなに高くないから、たぶん後輩の子だろう。


「ん?はい、何でしょう??」

「えっと…高等部の永嶋夕璃先輩ですよね」

「そ、そうですけど…えっと、君は?」

「僕は中等部二年は組の時友四郎兵衛です。た、体育委員の」

「あ、体育委員ですか」


体育委員会はあの件(9話参照)があったから、以来日誌は滝夜叉丸君を通じてもらっている。
だからあんまり顔を合わせることもなくて、三之助君にも金吾君以外の後輩がいるなんて知らなかった。


「えっと…じゃあ、四郎兵衛君が学級委員長委員会に救援要請したんですか?」

「はいっ、そうです…僕だけじゃなくて、滝夜叉丸先輩もですけど」

「滝夜叉丸君も?」

「夕璃先輩に任せておけば大丈夫って言ってました」

「(そうか、滝夜叉丸君のせいなのか…)」


最近やたらと学級委員長委員会に救援要請が多いと思ったら、滝夜叉丸君がそんなことを言っていたなんて。
別に頼られるのはすごく嬉しいことだけど…自分でできることは自分でやってほしいです。


「…もしかして、迷惑でしたか?」

「そんなことないです。三之助君捜すの、なんか慣れてしまって」

「そ、そうですか。…あのっ、僕、夕璃先輩にお会いしたくて……それで滝夜叉丸先輩の提案に乗ったんです」

「え、私に…?」

「はい。それで、あの、僕の同級生たちにも、今度会ってくれませんか??」

「同級生?」

「はい。ちょっと口が悪くて素直じゃないけど、みんないい人なんだなぁ」


三郎次と左近と久作っていうんです。
そう私に話す四郎兵衛君はすごく楽しそうで、その同級生とは本当に仲がいいんだなぁとこっちまで微笑ましく思えてくる。


「…いいですよ。今度紹介してくださいね」

「!!あ、ありがとうございますっ」

「ふふっ…ねぇ四郎兵衛君。一緒に三之助君、捜しませんか?」


私だけじゃ、正直お手上げ状態だったんです。
そう告げると、四郎兵衛君はさらに笑顔を輝かせた。


「は、はいっ、喜んで!!」


もう一度、二人で並んで学校内の捜索を開始した。
私は捜しながらもその同級生の子たちのことを考えていた。隣にいた四郎兵衛君は何を考えていたのかな??

…そして結局、三之助君は自力で教室に戻り作兵衛君に捕獲されてるというオチでした。



紹介、待ってます。
(でも、私が捜さなくてもよかったんじゃ…!?)

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