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この度大川学園高等部1年い組に転入してきた、永嶋夕璃と申します。


***


私が転入してから三日が経過した。
親は銀行員で転勤が多く、小さい頃から転校を繰り返してるせいですっかりコミュ障らしきものを身につけてしまった。
そのため現時点で友達、ゼロ。


「おはよー夕璃」

「おはよう、夕璃。今日も私は美しいだろう?」

「お、おはようございます…綾部君、平君」


…というわけでもなかった。

どういうわけか、クラスどころか学年でも目立つ存在である綾部喜八郎君と平滝夜叉丸君が、初日から私に話しかけてくれた。
しかもこの二人、超超美形。性格に難はあるとはいえこんな美人さんが私に話しかけてくれるなんて、心臓はばくばくだ。


「おはよう、夕璃…ってなんだ、滝夜叉丸も喜八郎ももう来ていたのか」

「なんだとはどういうことだ三木ヱ門!夕璃に一番に挨拶したのはこの私なんだっ」

「…僕だと思うんだけど」


隣のクラスから自称アイドルの美少年、田村三木ヱ門君がやってきて、朝早くから平君たちと口げんかを始めてしまう。
田村君とは転入初日に平君を通して知り合った。彼はモデルガンとか特撮とかが好きらしく、しょっちゅう私に語ってくれるのだが、分からないものは分からない…。

目の前で美少年たちが言い争ってる、そんな少女漫画みたいな展開とは無縁な人生を送ってきた私にとって、この学校での生活は短いながらも驚くことばかりだ。


「おはよーみんな。夕璃ちゃんもおはよう!今日も可愛いね、髪結ってあげるよ!」

「あ、斉藤君…おはようございます…髪は、遠慮しておきます……」

「うーん…そっか、残念。また今度ね」


今度はさらに隣のクラスの斉藤タカ丸君が来た。
彼は家の都合で私よりちょっと早く、今年からこの学校に編入してきたらしい。
でも、正直彼はちょっと苦手だ。金髪でピアスとかもつけて、実家が美容室だからって本人は言ってるけどあんまり関係ないと思う。
それに、雰囲気がただ者ではない。私の第六感が彼から黒いオーラを感じる。

できることならあんまり近づきたくはないタイプである。


「タカ丸さん、抜け駆けしないでくださいよ!夕璃とデートするのは…!!」

「三木ヱ門くんも、抜け駆けしないでね」

「まあまあ、夕璃とデートするのは文武両道容姿端麗な私に決まっているだろう?」

「「それはないっ!!」」

「滝夜叉丸たちはほっといて、宿題見せてくれる?昨日寝てて聞いてなかったんだぁ」

「…うん」


前途多難なここでの生活、不安はあるがなんとかうまくやっていけそうな気がする。

そう思わせてくれる人たちが周りに沢山いることに気づいた。



スタートはほぼ順調です。
(友達が沢山できました)

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