19

テストも無事終わり、梅雨も明けて少しずつ太陽が出てくる日が多くなってきたこの頃。
季節なんて関係なく、私の周りはいつも太陽が出ているみたいに明るいです。



***



「くっそぅ…滝夜叉丸の奴め!」

「三木ヱ門、そろそろ自分の負けを認めたらどうだ?」

「穴掘り穴掘りっと…」

「(…賑やかだなぁ)」


テストが終わるとすぐにいつもと同じテンションになってしまった同級生たち。
でも、この前初めて一緒にカラオケに行ったりして、少しは親睦を深められたかなぁなんて思っている私もいる。そう考えると、この状況も段々と微笑ましく思えてくる。


「…あれ?今日は斉藤君はいないんですか?」

「タカ丸さん?朝からいなかったっけ」

「あぁ、タカ丸さんなら家の用事とかで今日だけ休みだそうだ」

「そ、そうなんですか」


丁寧に答えてくれた田村君。そう言えば彼の家は美容室とかだったなぁ。何か私たちには分からない特別な用事があるのかもしれない。それにしても、風邪とかじゃなくて本当によかった。


「教えてくれてありがとうございます、田村君」

「ず、ずるいぞ三木ヱ門っ。夕璃からお礼を言われるなど…この平滝夜叉丸が許さん!!」

「ふっふーん、羨ましいだろう滝夜叉丸?この勝負、私の勝ちだな」

「…一体何の勝負をしてるんですか?」


わけの分からない争いが起きてしまったので止めようとするが私一人ではなかなかうまくいかない。
綾部君はどこ吹く風で見学してるだけだし…結局斉藤君がいてもいなくても、私の周りの人たちは通常運転らしいです。でも少し寂しいな…。





「あ、いたいた…夕璃ちゃんっ」

「斉藤、君…!?あれ、今日学校休んでるって…」

「夕璃ちゃんに会うためだけに、今だけ時間作って来たんだ」

「そ、そうなんですか…で、どうしたんですか?」

「あのね…明後日、#name1ちゃん#と一緒に遊びに行きたくて」

「私と一緒に…ですか?」

「うん。夕璃ちゃんと一緒がいいんだ」


私を見つけて、相当急いで走ってきてくれたのだろう。肩で息をしていて彼の眩しい金髪が揺れる。
編入してきた時は見た目からかちょっと苦手意識を持っていたけど、テスト勉強を一緒にやったりしたお陰で、彼に対する初対面で抱いた感情も少しずつ薄らいでいる。

一緒にお出かけ…いいかもしれない。
こんな風に誰かと一緒にどこかへ行くなんて初めてのことだし、斉藤君ともっと仲良くなれるチャンスだと思うし。


「…いいですよ」

「本当っ!?」

「はい。私も斉藤君と一緒にお出かけしてみたいですし」

「ありがとうっ!…じゃあ、今度の日曜日とかどうかな?」

「大丈夫です」

「やった!夕璃ちゃんと遊園地行きたいんだぁ。じゃあ時間は…」


その後ちょっとした話し合いがあって、朝十時に駅前集合ということに決まった。
話している時の斉藤君はずっと嬉しそうにしていて、髪だけじゃなくて彼の笑顔もすごく眩しかった。つられて私までも笑顔にしてしまう、彼の才能なんだな。


「分かりました。日曜日の、朝十時に駅前ですね」

「うん!寝坊しちゃダメだよ?」

「…斉藤君こそ」

「心配だったら、起こしに来てくれてもいいよ?」

「それはさすがに、無理です…」


斉藤君は冗談だよと言って笑って帰っていった。
どうやら本当に私にこのことを伝えるためだけに学校に来たみたいだ。なんだか申し訳なくなってくるなぁ…。

一人残された私は、日曜のことをちょっとシミュレーションしてみた。
朝は早めに起きて、服とか靴とか選んで…あれ、外に着ていけるもの持ってたっけ?私にとって初めてのことが多すぎて、ちょっと一人パニックになっちゃっている。
っていうか…これってデート、なんだろうか??



約束、しちゃいました。
(今から少しドキドキです)

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