短編 | ナノ



褒めたい褒めて欲しい、
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私には好きな人がいる。好きな人も私が好きで、恋人関係になって、結婚した。その彼は自分で言うのもなんだけど私にベタ惚れ……だと思うんだけど付き合う前からよく可愛い、とか言ってた。私は恋人関係になる前は流すようにハイハイカッコいいカッコいいとは言っていたけど、恋人関係になってからは、恥ずかしくて言えてない。相変わらずアニメキャラや俳優さんには言えるんだけど。

『おー、カッコいい……』

刑事物のドラマを見ている時だろうか。中々に勇気ある行動をしていてそう呟いた。

「名前は俺には言えないのに画面の向こう側の人には言えるんだねー」

やっぱり、彼も、研二も気づいていたらしい。

『いや、なんていうか、その……恥ずかしいというか……言い慣れていないというか……』

本当は勿論カッコいいって言いたい。でもいざその時となると顔が熱くなって言えなくなる。

「それじゃあ練習! 」

『練習ってぎゃっ!』

気づいた時には遅く、ソファーに押し倒され、両手は逃げられないようネクタイで縛られてしまった。

「ほら、褒めてごらん?」

色っぽく、耳元で褒めてくれるまでこのままだよ、と囁かれる。その声が鼓膜に触れ、ゾワゾワと私の体は震える。

『うぅ……その……全部……』

「ぜんぶ?」

『ぜ、全部カッコいいですっ……髪とか、顔とか声とか、体もっ……全部カッコいいです! 大好きです……んむっ……』

ようやく言えたと思ったらキスをしてきた。体が火照っているから余計に気持ちよく感じる。

「よくできました。でも、他にもあるよね?」

言いたくない、けど言わなきゃ多分離してくれない。

『今のも……気持ちいい、です……』

「ん、可愛い」

結局はしながらも私に感想を求めてきてというとんでもない羞恥プレイを要求されて私が頭真っ白になるまでヤツは離してくれなかった。


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