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うちに目の下にクマを作った一色がやって来た。アラサー近くになってあーそーぼーじゃないよ寝ろよとそんな言葉も受け入れるつもりはなくカバンから何かを取り出した。
「これやろう」
そう言って私に差し出したのはWiiの呪怨。これめっちゃヤバいやつや。私は海外系ホラーは平気なのだが日本系ホラーは苦手だったりする。こうなると誰か側にいないといられない派で今は一色の袖を掴んでいる。のっぺりとした少年とか無理だ。
「あはは! 名前は和風ホラーが苦手なんだな! そういや前に零とかやった時もずーっと僕にしがみついていたよな」
「だ、だって海外のはともかく日本のってじわじわ来ない? 私あれやってからしばらく仕事昼番にしてもらってたんだからねっ ようやくまた治ったと思ったのに……」
今もまたリモコンが反応するたびにビビり一色の腕にしがみついている。絶対これ狙いで買ってきたなコイツ。
「ごめんな。合理的に名前に抱きついてもらいたい気分だったんだ」
「うっ……ある意味合理的だろうけどやっぱりこれ目的だったんだな!ぎゃあっ!?」
「おっと……可愛いなあ……」
「うるさいなあ……ねーもう寝ようよう……」
眠気と恐怖によって私は完全に一色に抱きつきながら縋っていた。これも奴の策の内とか恐怖に逃れたい一心でどうでもよくなっている。
「名前、もう寝よっか」
「うん……」
デジタル時計はもう夜中の二時になったところでようやく切り上げたらしく、私は半分眠っていた。奴に持ち上げられベッドまで運ばれたところまでは覚えていたのだが朝起きたらなんと一色も一緒のベッドで寝ていた。
「ねえこれどういう状況っ!?」
「うぐっ」
もちろんすぐ様追い出してどういうことだと聞いたらスマホを取り出して昨夜の寝る前の私のそれは恥ずかしい懇願が再生され、にっこりと今日一日デートしてくれたら消してあげると言われ全てはヤツの計算通りに動かされてしまったのであった。
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