赤く染められた肌
「おい、名前」

私は今、あきらかに不機嫌MAXな彼氏、宮地清志様の前で正座中です。

「は、はい」
「なんで俺がこんなにキレてんのか…勿論わかってるよな?」
「は、はい………わかってます…」

清志が何故こんなに不機嫌なのかというと、まず第一に清志と二人きりのデート中、後輩の緑間くんと高尾くんにばったり遭遇してしまい、(緑間くんは高尾くんに無理矢理引っ張られて)何故か彼らも一緒についてくる羽目になってしまったからだ。そしてもう一つ、高尾くんが喉が渇いたという事で近くのカフェに寄ったのだが、高尾くんは自分のではなくわざわざ私が頼んだ飲み物を飲み、そして一言、「間接キスですね、名前先輩」と言ってきた事である。高尾くん達に会った時から既にイライラしていた清志の堪忍袋の緒がついに切れ、清志は私を連れ無言で店を出て家に向かった。そして今に至る。

「じゃあなんでアイツ等がついてくんのを許したんだよ」
「それはその…なんて拒否ればいいかわからなくて…」
「デート中なのにか?」
「すいません…」
「それに、アイツにキスされたよな?」
「あれは間接キスでしょ…キスの内に入らな「入る」

私の言葉を遮り、やや強めな口調で言った。そりゃ私だってデートを邪魔されたら何も思わない筈がない。間接キスだってもし清志が女の子にされたら嫌だ。…いやでもあんなに清志も嫌がってたのに断れなかった私が確実に悪いのだけども。正座をしながら頭の中で言い訳の言葉を考えていると、先に清志が口を開いた。

「……誰にも触らせたくねェんだよ…名前…」
「きよ…、んっ」

清志の顔がゆっくりと近づいてきたかと思うと同時に、胸元に走ったちくりとした痛みに思わず顔を歪め、声を漏らした。

「な、なななにを…!」
「お前は俺のモノだっていう印だ」

と私を見下ろしながらにやりと清志が笑う。自分の胸元を見てみるとくっきりと残った紅い痕。

「ちょ、こんな見えるとこに……!」

思わず手で隠すと清志が再び近づいてきて私の顎を掴んでくい、と上を向かせた。



「今日はぜってえ寝かさねえから、覚悟しとけよ」



胸へのキスは「所有」

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