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「ちわーッス、シロネコ宅配便でーす」
彼は二十二歳年下のバイトだと聞いた。
小麦色の肌で夏も冬も問わず半袖の彼は、、玄関の前に立つ度に額に汗を浮かばせていた。
爽やかな笑顔と共に見える白く並びの良い歯。
腕についた程よい筋肉は重い荷物を運ぶ彼によく似合い逞しく、艶かしい。
「ちーッス」
輝明(てるあき)は下心満載でいつも運んでくれる宅配便の彼から荷物を受け取っていた。
シロネコくん─……宅配会社の名前が『シロネコ宅配便』だから本名も知らない彼の事を輝明は勝手に『シロネコくん』と呼ぶ事にしている。
そんなシロネコくんと出会ったのは昨年の秋。
輝明は勤めていた会社を辞め、勤務地で借りていたアパートを引き払いそんなに距離は変わらないが隣の区でまたアパートを借りた。
心機一転のつもりで─……。
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