(fanBOXサンプル)たまにはお仕置してください!


※本編のネタバレある為全文はファンボックスにて掲載中。

(本文一部抜粋)

白い手首をシーツに縫い付けて、喘ぎ反る首筋に軽いキスを一つ、また一つと落としてゆく。
汗ばむ彼の体は宇佐美の肌に吸い付くようで愛らしく、快感を与える度にこぼれ落ちていく声は切なく響く。

宇佐美が組み敷く年下の彼とはやっと同棲して四年が過ぎた。
長く遠い道のりだった─……と、ありふれた言葉でしか言い表せないのがもどかしい程に、沢山の事がありやっと一緒になれた。
この手で真宏を抱くことは一生無いと、抱けるわけがないと思っていた。
真宏は、酷く真っ直ぐに純粋に宇佐美を好いた。真正面からぶつかってくれる真宏に宇佐美は何度も向き合いたかった。けれど、向き合えなかった。決して明るくはない生い立ちがそうさせた。そして、それに立ち向かえない自分の弱さがそうさせた。
それでも真宏は懲りずに何度も、何度も何度も何度も……宇佐美の元へ現れて、例え宇佐美が世界のどこにいても真宏は宇佐美のそばに現れて、そうして同じ台詞を吐く。

──……帰ろう、宇佐美。

この台詞でいつも、宇佐美は真宏の手を掴んで一緒に歩いていけたのだ。真宏は宇佐美を照らす太陽。
そんな綺麗な彼だからこそ、汚したくなかった。
両想いでも、セックスしなくてはいけないなんて決まりはない。宇佐美も性にはそこまで固執している人間では無かったから、このまま一生自己処理でも構わないと思っていた。けれど真宏はまた宇佐美に手を伸ばした。「抱いて欲しい」と。
望まれるなんて思っていなかったし、無理をしているのなら止めてくれ、と伝えれば真宏は少しムスッとした顔で言うのだ。

──……俺だって、男なんですよ。

ほんのり頬や首や耳を赤くした真宏に睨まれながら言われてしまえば、愛おしさが爆発するのも必然である。
宇佐美は真宏の体を強く、強く抱きしめた。
同じ男であるし、望まれれば自分が下でも構わないと思っていたのに、真宏はそれでも抱かれる側を選んだ。
自分よりも遥かに男らしい真宏は、自分に抱かれる事を……。

真宏の様子を窺いながら緩く律動を開始し、ちらりとヘッドボードに置いてある時計を見れば、あと数分で日付が変わるようだった。

「せ、……んぱ、い……」
「ん? どうした?」

視線を戻して再び真宏を見下ろせば、真宏は小さく口を動かしてこちらに手を伸ばしていた。

「……き、もち……?」

真宏の手が宇佐美の頬に触れ、僅かに流れる汗を拭う。

「うん……めっちゃええよ」

にかり、と笑えば真宏も安心したようにふにゃりと頬を緩めた。真宏とはもう何度も致しているか分からない。同棲してからはお互いが求め合い、気持ちが合致した時だけ最後までなだれ込む。お互いをすきだと思う度に回数は増えていき、回数が増えていく事に好きが増してゆく。真宏は宇佐美を受け入れた瞬間から、宇佐美が訊く前に必ず「気持ちいい?」と聞いてくる。
受け入れる方が辛い筈なのに、きっと俺がそういうのを気にしてしまうと思っているのだろう。
実際宇佐美はそういう気にしいな性格だ。
真宏の事が大切で大好きで愛のその上……と、好きが故に真宏の嫌な事は何一つしたくないし、傷つけたくないし泣かせたくなどない。
真宏は大丈夫じゃない時ほど「大丈夫」と笑うし、宇佐美を笑わせることの方を優先させてしまうような優しくて強い人間であるて宇佐美は知っているからこそ、お互いがお互いを必要以上に心配してしまう。
その結果、真宏は宇佐美より早くちゃんと感じているのかを訊くし、宇佐美は真宏が辛くないか自分が暴走しないようにしっかり時間を確認して一時間程度で終わるように心がけている。

ふと、真宏が短く息を吐いた。

「……んぁ、……は、」

ぎゅ、と目を瞑り宇佐美の右腕を真宏の左手が掴む。
訊かずとも、真宏の体がびくり、と強めに震えたことで真宏のイイところを刺激出来た事がわかる。臍の少し下あたりを手のひらで柔く押せば、真宏は驚いたように仰け反り、声を上げる。

「っあ゛! んぅ、ぁ……っ」

ぽろり、ぽろり、と涙がこぼれ落ちていく。真宏の頬にキスを落とし、「ここやろ」と囁くと、真宏は困った顔をして、こくり、と頷いた。

「あんま好きくない?」

そう問えば、真宏はふるふる、と首を横に振り宇佐美の言葉を否定する。

「……な、んか、そこ……さみし、く……なる……」

健気に教えてくれつつも、真宏の大きな目からはぽろりぽろりと涙が零れていく。

「ぎゅーする?」

少し腰の動きを止め、体を密着させて訊くと真宏はこくり、と頷いて宇佐美の首に腕を回した。
よいしょ、と声を出して真宏の腰を抱き、ペニスが出ぬように真宏を起こして自分の膝の上にゆっくりと腰を落とさせた。

「ぁっ……んぅ、ぁ……はぁ、ッ」

ぐぷり、と沈み込む感覚に真宏は、ぎゅうっと抱きつきながらビクビクと快感に耐えている。
一年かけて宇佐美の全部が入るようになった真宏でも、スる度に宇佐美のモノを全てお腹におさめるのは慣れないようで、毎度泣きそうな声を漏らしながら頑張ってくれている。
やっと全て入れ終えた真宏が「はふ、」と息を吐いて宇佐美にもたれかかった。

「ええ子やな」

自分で挿入して膝上に座れたことを頭を撫でて褒めてやれば真宏は嬉しそうに笑って宇佐美の首筋に吸い付く。

「……っん、」

宇佐美が声を漏らせば、真宏は嬉しそうに笑う。

「……せんぱい、……おれより、しろいから、……あかいの、……ん、めだつ……」
「あ、また痕つけたんー? まぁ、冬やし見えへんからええかあ」

「んぁ、……あっ、ぁッ」

仕返し、と言わんばかりに腰の動きを再開させれば真宏は喘ぐ。
くちゅり、と水音が室内に響き真宏は宇佐美の肩に歯を食い込ませる。真宏がイキたい時の癖だ。

「まひ、えーよ。イッて」
「んぐ、ぁ゛ッ、ん゛」

宇佐美の肩を噛んでいるせいでくぐもった声が耳元で聞こえ、毎度可愛くて口角が上がる。

「あ゛ッ、ひぐっ──ッ」

奥に深く挿し入れれば、真宏は衝撃で口を離し、背を反らして喉を詰まらせた。

「あっ、あ゛、イく゛、イ゛ッ──」

どぴゅ、と真宏の温かい白濁が宇佐美の腹にかかり、宇佐美は仰け反り痙攣した真宏の後頭部を支えて、再び肩にもたれさせる。

「……っぁ、……は、……」

荒く息を吐く真宏に、大丈夫かと声をかければ真宏は僅かに頷いた。

「ほな抜くで」

そそろそろ一時間だし、真宏も今ので二回射精した。お仕置とは名ばかりでセックスをする為の口実に過ぎない。元々酷くするようなつもりは毛頭無かった。宇佐美は一回しか出せてはいないが、真宏がもうウトウトしているし……と声をかければ真宏は、きゅ、と眉を寄せて「……やだ」と呟いた。

「え?」

驚いて顔を覗けば真宏はグイッと宇佐美の肩を押して、ぽすり、と宇佐美を寝かせた。
所謂騎乗位だ。

「まだ、だめです……っ」

ぬちゅ、と真宏は自分で腰を浮かせ、頑張って尻に力を込めている。

「まひ、どないしたん? いつもここで終わるやん」

不思議に思い見上げていると、真宏はムスッと口を尖らせて宇佐美を見下ろした。

「……おれ、……あの、まだ……はんせいしてないから……、」




そう、珍しく今日のセックスは真宏がお痛をした罰─……お仕置セックスだった。

事は二時間前に遡る。




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