side こたろ
*
「おーい、起きろ、琥太朗くん」
ゆさゆさ、と揺られ頭がズキリと痛んで鬱陶しく目を開けた。
「おはよう、琥太朗くん。さ、スープ作ってきたぞ
食えるか? 起きれるか?」
志場さんは俺の頭の下に腕を入れて起こしてくれ、そのまま後ろに座って背もたれになってくれた。
俺に腕を回してスプーンを口に運んでくれる。
「……んぐ」
与えられるまま食べて行く。
味は美味しい。
きらきらぁ
ってなるほどじゃないけど、美味しい。
でも半分もいかないくらいで苦しくなって首を横に振った。
「オッケー上出来だ。ほれ、薬飲んでまた横んなりな」
志場さんは錠剤を指ごと口の中に入れてきた。
「……ん、……ふ……」
ぐちぐち、と咥内をかき混ぜられ薬が溶けて苦くて涙目になる。
なに? ……なんで、ぐちゃぐちゃするの……
「ああ、ごめんごめん。熱で口ん中もあったけぇなぁって思ってよ。ほら、水飲んで、苦いっしょ」
ペットボトルを渡され、志場さんと一緒にボトルを持って傾けて、こくこく、と飲む。
「えらいえらい」
頭を撫でられて思わず、ふにゃ、と頬が緩んだ。
志場さんはキョトンして俺を見る。
「キミまじで可愛いよね」
「……?」
まじまじと見つめてそう言われ、キョトンと見上げる。
「……佐光のこと好き?」
佐光さん?
「……うん」
「俺の事は?」
俺……? 志場さんのこと?
考えた事ない。
「……熱ってね、ココからいっぱいピュッピュッすると、すぐ下がるんだよ」
「……、」
とんとん、と下をつつかれ、ビックリした。
なんの事だ、と志場さんを見上げると、志場さんはニッコリ笑った。
「……俺ねぇ、弱ってる人間大好物なんだよなぁ……。佐光にはやんねぇって言ったけど、やるよな、どう考えても」
勝手に1人で話してる志場さんを不思議に思いつつも、佐光さん早く帰ってこないかなぁなんて、のんびり考えていた。
そして志場さんに寄りかかってウトウトし始めた時、つーっとお腹を撫でられビクリ、と目を覚ました。
大きくて小麦肌の手は俺の腹を撫でたあと、徐々に下がっていき、パンツの中に指先が入ってきた。
びっくりして手を掴んで止めると、志場さんはニヤリと笑って俺を覗き込んでいった。
「いいの? キミの"ワガママ"で俺を止めても。佐光に言われてたよねぇ? ワガママは言うなって」
「……っ」
え、アレって佐光さんに対してだけじゃないの?
というか、俺が志場さんを止めるのって俺のわがままになるの?
……ワガママ言っちゃダメ、って皆に?
皆にだったら、今俺が志場さん止めたら佐光さんに怒られちゃう……。
佐光さんに嫌われたくない……。
ぼんやりする頭を必死に動かしてそこまで考え、俺はおずおずと志場さんから手を離した。
それに、ピュッピュッすれば、熱下がるって言ってたな……
早く熱下げて、料理作って、佐光さんに食べてもらいたい……
「お、いっぱいピュッピュッする気になった?」
楽しそうに微笑まれ、俺はこくん、と頷いた。
「…………ん、いっぱい……ぴゅ、ぴゅ、……する……」
ちょっと恥ずかしいけど、ちゃんと言えた……!
「ローションあった方が気持ちいいだろ?」
ぐちゅり、ぐちゅり、と水音が響き、パンツの中で志場さんの手がいやらしく動く。
「ぁ、……んぅ……ッ」
気持ちよくて声が漏れてしまい、思わず志場さんに擦り寄る。
「……あー、……琥太朗くんはココじゃ、足りないのか」
そう呟いた志場さんは、俺のモノからゆっくり手を動かし尻の割れ目にそって指を這わせた。
ローションでぬめる指は1本、また1本と俺の中に入ってくる。
「あっ……んぁ、……は……」
ゆっくり入ってくる感覚に涙がポロポロこぼれる。
「すっげぇな、俺の指もう3本も咥えこんでるぜお前」
「……ぅあ゛……ッ、ひ、ぁ」
パラパラと動かされ、快感に喘ぐ。
「はは、手マン好きか? ん?」
覗き込まれ、こくこく、と頷くと「……お前素直で可愛い」と言われ唇を合わせられた。
「……んぅ、……ふ、ぁふ……ッ」
飲みきれない唾液が口の端からこぼれ、けほけほ、と噎せた。
「あ゛ひ─……ッ!!」
俺の気持ちいい所をグリッとおされ、ビクビクと痙攣しどぴゅ、と腹に白濁を吐き出した。
「おー偉いね、ちゃんとピュッピュッ出来たな」
よしよし、と撫でられて気持ちよさの余韻と褒められた嬉しさで、「……ん……!」と笑う。
すると、志場さんは「あー最高だな」と呟いた瞬間、ドサリ、と俺をベッドに押し倒し、上に跨った。
……え? なに?
「俺キミのこと、すっごく気に入っちゃった。セックスしようか」
……え?
「……ゃ、……あ、」
やだって、言ったら、ワガママになっちゃう、
「……はは、忠犬」
まあいっか、我慢すればいいんだ。
俺は佐光さんと付き合ってるわけじゃないし。
「……ひぐッ!?」
いきなり太いものがウシロに挿入され、息が詰まってびくん、びくん、と痙攣した。
「あれ? ドライでイッた? 琥太朗くん、イキやすいねぇ
。まあ勝手にイクのはいいけど、ちょっとは我慢しないとキミが辛いんじゃない? 俺はどうでもいいけど」
「あ゛ッ、ケホッケホッ」
グッと最奥をつかれ、噎せてしまう。
目がチカチカして、急な快楽を未だ受け入れられない。
頭がズキズキ痛い、ダルい、疲れた、眠りたい、でも─……
「ほら寝てんじゃねぇよ!」
バキッと頬を殴られ、鼻血が出たし、口の中鉄の味がする。
……いた、い
痛いのは嫌だ、
「オラ!! 喘げよ!」
「……あ゛ぁ゛っ!?」
乳首をギリッと抓られ、あまりの痛さにビクリと背を反らした。
ボロボロ涙がこぼれる。
「あー……いいなぁその顔、ダァイスキ」
「……い゛ッ」
前髪を鷲づかみにされて持ち上げられ、痛さに息が荒くなる。
「なぁ、俺のでギチギチのココにさ、"コレ"いれたらもっと楽しくなるんじゃない?」
意識が朦朧としている俺の目の前に、黒くて太い棒を見せてくる志場さん。
暫くぼんやりとソレを見つめていたが、意識が戻ってきてソレが何かを認識し、俺はあまりの恐怖に叫び、志場さんの腕を振り払って、……しまった。
「あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!!」
痛みと恐怖を想像し、頭を抱えて叫ぶ。
俺のモノは萎えて、今はただ恐怖しかない。
怖い、こわいよ、こわい、さみつさん、おれ、こわい
「……チッ、めんどくせーな。なに、癇癪持ちなん? ダル」
あ、塞いで縛ればいいか、そんな不穏な言葉が聞こえ、益々怖くて暴れる。
足を振り回して志場さんに当たって、志場さんの拘束が緩んだ隙に、ベッドから転げ落ちる。
そのままドアに行きたかったのに、足を引っ張られガンッと額と鼻を床にぶつけた。
だくだくと血が垂れていくのがわかる。
「……なあ。せっかく、その面が可愛いのにさぁ……血だらけじゃん。可愛いけど、なぁんか萎えるわァ
」
覗き込んでくる志場さんが、こわい
いつの間にかタバコを吸っていた志場さんは、俺の鎖骨下に遠慮なくタバコをジュ、と押し付けてきて、「い゛あ゛ッ!!」と叫んだ。
「なぁに今更声上げてんだよ。お前の体の傷、佐光がやったの? それとも別のセフレ? 俺がやったのと同じ、根性焼き、あんじゃん。慣れてんだろ」
……慣れ? この痛さに?
慣れるわけない、いたいのは、いやなんだ
「いやだ、いやだやだやだやだやだ!!!!!!!! 離せ!!!! あっちいけ!!!!!!!!」
バタバタと暴れると、また頬をバキッという音を伴い殴られた。
頭がクラクラして、肺がひゅーひゅーする。
「……なぁーうるせーよ、黙れガキ」
低い声で囁かれ、志場さんの目が怖くてガチガチと体が震える。
「はーい、騒がしいからお仕置だよー。お手手はココに、足はコレで縛ろうねぇー。あ、目も口も塞ぐか、めんどくせぇし」
思いつきでそんな事を言われ、必死で暴れたけど俺は呆気なく視界も声も奪われた。
手も足もベルトでベッドの足と繋がれ、動けない。
逃げられない、いやだ、こわいよ、こわいよ─……
「そんな震えて何がこぇーの? お前を殺すなんて言ってねぇじゃん、セックスしよって言っただけじゃーん? っつーか、どうせ佐光この家に帰ってくんだしいいじゃん、昼間くらいさぁ」
やだ、いたいことするから、いやだ
そう言いたいのに、口をガムテで塞がれて言えない。
瑛は殴ったり蹴ったりはしたけど、ここまではしなかった。
コレじゃ逃げられないいやだ、いやだよ、逃げたい、こわいよ、佐光さん、たすけて、にげたい
「なぁんでそんな泣くの? 気持ちいいだけじゃん」
不意にぷつり、と腕に痛みを感じ、スーッと何かの液体が入ってくる。
怖くて、暴れると「動くと痛えよ」と言われ、大人しくした。
でもすぐにおかしいと思った。
体が、熱くて、熱くて、仕方ない。
心臓もどくどく速くなって、呼吸がくるしい。
お尻もジンジンして、変だ。
何もしてないのに……
「……琥太朗くん、怖いよぉーて言ってたのに、おちんちん、勃っちゃってるよ? えっちだねぇ」
「……ん゛ッ」
おちんちんを、ぺしん、と軽く叩かれビクッと体が震えた。
その刺激でさえ気持ちよくて、乳首もジンジンしてきた……
なんだろこれ……へんだ……あたまがぐわんぐわんする……
「……乳首もピンクでかわいいなぁ
、ぴんってたってるよ? 自分でわかる?」
「……ん゛ん゛」
くりくり、こねこね、乳首を弄ばれ、何故かその刺激だけでガクガク腰が震え、びゅっ、と射精をしてしまった。
「えー触ってないのに優秀じゃん、いい子いい子」
頭を撫でられる。
いっぱいイクと、志場さんは褒めてくれる。
いっぱい頑張れば、もう痛いことされない?
「偉いねぇ、もっとピュッピュッしようかぁー。そんじゃあねぇ、コッチで、ピュッピュッしような」
「……ん゛ふ、……う゛ッ」
にゅるり、と志場さんがはいってきて、お尻が気持ちいい。
でも同時に志場さんの先端が入ったと思ったら、別の、ぬるぬるの無機物も一緒にぬるり、と入ってきた。
それだけで、おしりの穴はミチミチなのが嫌でもわかる。
「なんだ、入るじゃん」
その言葉に血の気が引き、待って、と言おうと、……したのに……
「ん゛ん゛ーーーーーーーッ!!!!」
プチッと切れる感覚と、多量の圧迫感に思い切り背を反らし、叫んだ。
「……っ、う、わ、キッツ」
志場さんの苦しそうな声なんか聞こえない。
キーンっと、耳鳴りがして、体が、ガクガク震えている。
志場さんはお構い無しに腰を動かし、俺の尻の中でぬちぬちとディルドと志場さんのモノが擦れる。
だめ、いたい、おなかが、くるし─……ッ
目がぐるぐるして、頭痛が悪化して、加えて、内臓の圧迫で思わず嘔吐したくなる。
胃の中の物が喉奥まで迫ってきていて、慌てて志場さんに訴える。
「ん゛ん゛!!!! ん゛ぅ゛!!!!」
「あ? なに? うるせーな」
その言葉だけで、無視をされる。
ああ、いやだ、吐く、はいてしまう、でも、物が外に出られない、ガムテープで、でも、きもち、わる……
お腹も喉もヒクヒクして、声が出せなくなる。
「……あれ? どったの? 琥太朗くん」
さすがに異変に気づいたのか、志場さんは腰の動きをとめ、仰向けにさせようとしたけれど、そんな事をされると嘔吐物が戻ってしまい余計に気持ち悪くなるので、必死に横向きで居た。
「……うわ顔真っ青、なに? 吐いてんの?」
気づいてくれた志場さんは目隠しを取り、ガムテを剥がしてくれて、床に「お゛ぇ゛ッ!!!」と吐き出した。
びちゃびちゃと、吐瀉物が落ち、涙もこぼれる。
ひゅ、ひゅ、と呼吸がくるしい。
「あーあー汚ぇなぁーもー。こんな汚したら佐光に怒られるんじゃね?」
ケラケラ笑う志場さんの言葉にサアッと血の気が引く。
佐光さん、おこる?
おこられる?
……いや、怒られるのは慣れてるんだ
いっつも俺が悪いから、俺の頭がバカだから、大人の言う事が理解できなくて学べなくて、同じ間違いをして、いっぱい怒られる
でも、俺が悪いから仕方ない
俺の頭が、人よりも、ドンくさくて、悪くて、それだから、仕方ないんだけど、……佐光さんに、
怒られても、殴られても、大丈夫だから、
嫌われたくない
きらわれるの、やだ
ごめんなさいって、許して貰えなくていいし、お仕置とかなんでも、何されてもおれ、体丈夫だから、大丈夫
でも嫌われたくない
捨てられたくない
俺を、守ってくれた佐光さん、可愛いって言ってくれる佐光さん好き、
せフレでも、好きだから、佐光さん、佐光さん、佐光さん─……
「……ご、め、……なさ……ぃ」
ぺこり、と謝って体を起こす。
「なに? 抱かれる気になった?」
志場さんの言葉に「……うん」と頷く。
「……でも、」
「あ?」
ちょっと言おうとしたら、低い声で凄まれる。
その声と顔が怖くて、ビクッと体が震えた。
「……ぁ、……か、たづけ、……」
「は? なに?」
俺の声が小さくて聞こえなかったらしく、グッと顔を寄せてくる志場さん。
「……ぉ、おかたづけ……さみ、つさん……に、おこられる、から……」
怯えながらもそう言うと、キョトンとした志場さんは次にはケラケラ笑っていた。
「やっば、キミ本当可愛い!! なぁ俺ちょー気に入ったよ!! 俺ん所来ない? ひっさびさに、こんなキたわァ」
1人でペラペラ喋ってる志場さんは、楽しそうに俺を見る。
「なぁ琥太朗くん、俺の事も好きになってよ」
え? 志場さんを? なんで?
「俺がキミを好きだから」
おれを? すき? 志場さんが?
「……なんで?」
「キミね、自分が思ってるよりめちゃくちゃ可愛いよ! しかもさ、俺みたいな趣味の人間はキミのような子が相性良いんだよ! 自称ドMより、無意識に忠誠しちゃう馬鹿さ加減っつーの? 佐光は俺より甘いから、キミを良く扱えないよ」
……え? なに? どういうこと?
志場さんが何を言っているのかサッパリ分からない。
「ひッ」
「……ほら、ココもさぁ切れちゃってジンジンするでしょ? でも中は……」
「あッ……ん……」
「もうとろとろじゃん」
相性良いんだって、俺たち!! と謎に興奮してる志場さん。
相性いい? 俺と志場さんが?
……まあ、俺より頭のいいであろう志場さんがそういうならきっとそうなんだろうな。
「俺ともセフレになってよ」
……ああでも、結局セフレか。
いつもこうなんだよな、皆、そう。
俺は友達とか、恋人とか、家族、になりたいのにさ、みーんな、「抱かせろ」だとか「セックス」だとか、言うの。
でも俺はね、馬鹿だから自分に「体しかない」のは分かってるんだ。
俺は体だけ。
むしろ、体があってラッキーなんだぞ、って言われて、確かにな、って思ったもん。
体があったから、瑛に好きだよって言って貰えたし、……殴られたけど。
体があったから、佐光さんに可愛いねって言って貰えるし、……怒られたけど。
まあだからいっか。
「……ん、わかったぁ」
こくり、と頷くと、志場さんは「やったぁ!!」とガッツポーズしてぎゅうっと、俺を抱きしめ……
「え」
だきしめてくれた
ぎ、ぎゅうだ……
「ん? なにかたまってんの?」
不審に思った志場さんが、体を離しておれを見てくる。
俺はあまりの嬉しさに、パアッと顔を明るくした。
「……ぎ、ぎゅう、……して、くれた……!!」
「あ? まあ可愛かったからな」
可愛い!!
またほめてくれた!!!!
「……おれ、しばさん、すき!!」
いっぱい褒めてくれる、ぎゅうしてくれる、佐光さんはぎゅうはしてくれない。
俺からしないと、してくれない。
でも志場さんは、志場さんからぎゅうしてくれた!!
嬉しい!!
嬉しさにニコニコしていると、志場さんはちょっと考えた顔をして俺を見つめた。
「……なぁ琥太朗」
真剣な声音で呼ばれ、「はい!」と返事すると、志場さんは「はぁ……」とため息を吐く。
「……セフレだけどさ、……琥太朗がセフレになっていいのは、俺と佐光だけにしような」
志場さんと、佐光さんだけ?
「わかった!」
大好きな志場さんが言う事だ。
快く承諾した。
「……んー、可愛い! 合格!」
なにが??
きっと何かが合格したんだ!!
またぎゅう、と抱き締められ、俺はすりすり、と擦り寄った。
志場さんの柑橘系の匂い、好きだぁ。
その匂いでちょっと、「何か」が落ち着いた気がした。
「よし、じゃあおかたづけは俺がやってあげるから、琥太郎はもっかいベッドにねんねしなさい」
うがいをさせてくれた志場さんは手を握ってくれて、ぽすんってベッドに俺を寝転がせた。
体がぽっぽっして熱いなぁって思う。
多分熱があるから、いっぱい上がっちゃったんだ。
「ほら琥太郎、ココ、ずーっと とろとろ垂れてんだよ、気持ちいいの? 何もしてねぇのに」
クスクスと笑われ、俺の先っぽにちょんっと触れた。
「……ん」
その小さな刺激が気持ち良くて、ぴくっと体が反応した。
「気持ちいいねぇ、じゃあもう1回さっきのに挑戦しようか」
「……え?」
さっきのって、あのお腹がいっぱいになっちゃうやつ?
おしり痛いのに、またするの?
「俺のこと好きなんだろ? ……じゃあ出来るよな、琥太郎」
好き……俺を好きって言ってくれる志場さんは良い人だから、好き……
でもいたいの、やだ
やだ、……
「…………でき、る」
怖いから、ぽろぽろ涙がこぼれた。
こわくてこわくて、またあの痛いのくるのやだから泣いた。
でも逃げられないし、逃げたら余計痛いってさっき知った。
志場さんは、言うこと聞けば痛い事しないの。
瑛と一緒。
瑛も、言うこと聞けば……あと、瑛の、機嫌悪くなければ優しかった。
俺が言うこと聞かない悪い子になるからダメなんだ。
「……ぁ゛ッ」
また、ミチミチ大きい物がはいってくる。
志場さんの温かさとディルドの無機物の冷たさ。
両方が一気に俺を貫いて、ビクンッと体が震えた。
「あ゛ッ、ひぃ゛……ッ!!」
「……っ、おー、頑張ってんねぇ琥太郎。いい子」
カハッ、と喉をのけ反らせて喘ごうにも喘げない。
内蔵が掻き回されてるのではないかという痛みと、その合間合間に俺の気持ちいい所をかすめられる気持ちよさに、ヨダレが垂れた。
「ははっ、どんどん柔らかくなってってんぞお前の中。優秀だなぁ
琥太郎は」
ディルドと志場さんが交互に動いて、おしりの中がいっぱいで、とんっとんっ、とお腹を内側からつかれる。
揺さぶられ、必死に声を出した。
「ぁ、あ……、んぅ、……は、ぁ」
苦しい、痛い、でも、きもちいい
志場さんは気持ちいい事だからしてくれてるんだ……
痛いばっかじやなくて、ちゃんときもちよくしてくれるんだ……
やさしい、志場さん……すき……
「おいおいとぶなよ、これからだぞ、琥太郎」
グッと2つで奥をつかれて、目を見開いて仰け反る。
「あ゛ぁ゛ッ……!!」
だらしなく股を開き、快感に耐える。
そうしてるうちに、中にある質量が少し減った気がした。
「……ぁ、しば、さ……ッ」
「おー、なに? あ、抜いてやったぞディルド。気持ちかったー?」
「……ッ、は、……きもち、……かった……」
こくり、と頷けば「すなお、すなお」とちゅっと音を立ててキスをしてくれた。
うれしい、キスだぁ……
「じゃあさ、ちょっと力んでくんない?」
「……?」
力む? 力入れろってこと? どこに?
「お腹にさ、排便する時みてぇにぐーって力入れんの」
え? なんで? そんなのやだ、
「大丈夫。お前ん中綺麗になってっから、それに俺はスカトロだけは趣味じゃねーの。まあちいせぇほうならいーけどな」
いーから力め、と言われる。
でも上手く体に力が入らなかった。
呆れた顔をした志場さんは、「はぁ」とため息を吐く。
……あ、上手く出来ないから……怒られる
お父さんとお母さんみたいに。
「こっち来い琥太郎」
ボーッと宙を見ているとグイッと引っ張られ、志場さんの上にお膝抱っこされた。
「……だっこ?」
嬉しく思って聞けば、志場さんは苦笑する。
「抱っこだけどなぁー違ぇよ。俺にしがみつきな思い切り」
ぎゅってしていいの?
嬉しくなってぎゅーって志場さんに抱きついた。
「偉い偉い。したらそのまま、お腹にも力入れてみ。琥太郎はいい子だから、出来るよな」
背中を大きく撫でられ、そう言われた。
俺は、いい子じゃないけど、えっちでならいい子になれるから、……できるかもしれない!
志場さんに強くしがみついて、そのままお腹にいっぱい力を込めた。
志場さんのモノが中に入っているのに、力んだせいで腸壁が志場さんのモノから離れていってしまう。
寂しくなり、力むのも疲れてきて息が荒くなり緩めようとしたその時、
「い゛あ゛ッ!!」
ずぷり、と奥に思い切りつかれ、何かがこじ開けて入ってくる感覚に体がこわばる。
「ゃ、や、だめっ!! だめ、しばさ……それ、だめなとこだから……ッ!!」
必死に離れようとするのに、志場さんは俺を抱きすくめ少しも離してくれない。
「琥太郎、もっと力入れろ。俺の言うこときけるだろ」
低い声で言われ、ボロボロ泣いた。
だってだめ、そこだめなんだもん
そんなところ、誰も入ったことないよそこなに?
こわいよ、おなかやぶれるかもしれないよ
血出ちゃうかもなのに、志場さんに言われたら、するしかない。
怖くてグスグス泣きながら、必死にしがみついてお腹に力入れた。
ぐぐっ、と志場さんのものが入ってきて、一気に最奥に入り込まれた。
「ーッ!?」
俺は声が出せないまま背を反らし、パクパクと口を動かした。
息が上手く出来ない、奥、入っちゃダメなとこ、痛かったのに、志場さんはお構い無しに動き出す。
「あ゛ー、最っ高すぎ」
心底気持ちよさそうに呟く志場さんの声はもう俺には届いていない。
お腹のダメなとこをずぷずぷ擦られ、つかれ、目を見開いて強すぎる快感に頭が真っ白になっていた。
「こたろー、おーい」
ぺしぺし、と頬を叩かれ、虚ろな目のまま必死に志場さんをみた。
「ーッ、」
よく見れば、俺は志場さんの腕に強く爪を立てていて血が滲んでいた。
でも体も手も固まっていて、志場さんが痛いから離さなきゃと思うのに、離そうと思えば思うほどより強く志場さんの皮膚を抉っていた。
「いや、いてぇわ琥太郎」
流石の志場さんも流血してしまったので、俺の手をゆっくり剥がした。
慌ててその手を掴み、またグッと爪を立ててしまう。
「なに? どした? うわお前、瞳孔開いてね?」
また、志場さんの手から血が出てしまった。
「大丈夫、大丈夫。ただのS字結腸だよ。気持ちいいだろ? 気持ちいいって言ってみ」
志場さんは腰の動きを止めないまま顔を寄せて、「ほら、きもちいい、って言え」と言った。
いわなきゃ、きもちいい、これはきもちいい、こと、きもちいいきもちいい……
「ーッぁ゛!」
ビクンビクンっと体が痙攣し、精液を出さずドライってイッてしまった。
「え、何お前。気持ちいいって思ったらイッちゃったの? かーわいー!」
「んッ、ふ……ぁ」
舌を絡められ、嬉しさと気持ちよさで頭がぽわぽわする。
「きもちいいな?」
「……き、も……ちぃ……」
もっと、キスしてほしい
もっと奥をついてほしい、
「何腰動かしてんの? 足りねぇ?」
ニヤリと笑われて、俺は頷いた。
足りない、もっと奥にほしい
壊すくらいに、
こわれてしまえばいい
……そういえば、そんな事を……誰かに言われたっけ……
「……なら、やってやるよ。壊れるぐらいに」
─……壊れろ、出来損ないのバカ息子。
そう、言われたっけな。
快感で腐った頭では、もう何も、考えられなくなっていた。
しおりを挟む
拍手
──────────────────
コメント一覧
0
comment
名前の所は無理に名前を記入しなくてもかまいません。
ただ、匿名用のネームを書いていただけると、お返事の際にお名前をおよび出来るようになります。(また認知しやすくもなります)
prev | next
name:
text:
url :
editkey :
list
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -