17

何やら暖かい。まどろみのなかその温もりにすがりつくと、無情にも引き離された。ついでに手で強く押されたような感覚を残して固い地面に転がる。慌てて目を開いた。脳みそのなかをイタチさんの写輪眼の模様が回っているような感覚。酔いそうだ。

「……大蛇丸様!!」
「何よ。五月蝿いわね」
「どうして?!……私……」
「あなた1ヶ月近くずっと眠ってたままだったのよ。私に心配させるなんて」

そう言いながら大蛇丸様は私に刺さっていた点滴を乱暴に引いた。痛い!大蛇丸様は暁のコートを着ているし、両手もある。私の目がおかしくなければ、ここは暁のアジトの大蛇丸様の部屋だ。夢中で頬をひっぱたくとなかなかに痛かった。そんな私を哀れむような目で見る大蛇丸様。

「い、イタチさんは…?」
「彼?いま任務中よ。そうね、ちゃんとお礼は言っておくべきね」
「……?」
「あなた一人で張り切って任務に行ったのはいいけど、気を失ってイタチに運ばれて帰ってきたのよ」
「……何の任務ですか?」
「覚えてないの?巻物をとってくる簡単な任務よ」

大蛇丸様がさしている任務とは、私が襲われかけたあの任務。その証拠に大蛇丸様は巻物を少し振る。嘘だ!と叫ぼうとした所で死ぬほど苦い薬湯を口に入れられた。苦い。本当に苦い。でも頭は、はっきりしてきた。いや、でも訳が分からない。夢なんだろうか。カブトのこともイタチさんと大蛇丸様のことも。だがそれにしては生々しく鮮明だ。

「大蛇丸様……」
「なに?」
「大蛇丸様とバラバラになってイタチさんに恋する夢を見ました。悪夢です」
「ふーん」

正夢にならないといいわね、とだけ言って大蛇丸様は部屋から出ていった。巻物回収任務の時、イタチさんが迎えにきたのは覚えてる。迎えに来た後も覚えてる。ならば、どこからが夢でどこからが現実なのか。いや、もしかしたらこれが夢なのかもしれない。もう一度自分の頬をつねる。やはりなかなかに痛かった。そして喉がカラカラだ。

「イタチさんに聞けば分かるかな……?」

血液パックにストローを差し込みながら想いを馳せるのはイタチさん。何となく、イタチさんは全てを知っている気がした。聞いた方がいいのか、聞かない方がいいのか。私には何も分からないけれど、それはそれでしょうがない気がした。それにしても嫌な夢だった。もうあんな悪夢は御免だ、そう呟いて寝台から降りる。大蛇丸様には安静にしてろと言われたが、どうしても動きたかった。頭の中ではまだ写輪眼の模様がぐるぐる回っていた。

END

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