04

そう、これは任務なのだ。大蛇丸様がうちはイタチさんの写輪眼を手に入れるための任務、それのお手伝いなのだ。そう自分に言い聞かせてイタチさんのツーマンセルの相手になることを了承しだが、なにぶん頭が痛い。リーダーはあの後、頼んだぞとだけ言ってどこかに行ってしまったのに加え、サソリさんと大蛇丸様はこの後別の任務があるらしくて私を置いていってしまった。つまりイタチさんと二人っきり。あれかな、一応自己紹介とかしておいた方がいいのかな。そう思って私の斜め後ろを歩くイタチさんに声を掛けてみる。

「あの、」
「……何ですか?」
「(ヒィィィィ!何で怒ってんの!?)一応自己紹介でもしようと思いまして」
「ああ、うちはイタチです」
「名前です。好きなものは大蛇丸様とトマト、嫌いなものは日光です」

精一杯の虚勢を張ってニコッと笑ってもイタチさんは無反応だった。とことん私に興味がないらしい。確かに私はイタチさんより遥かに格下だろうけれど、一応私の方が先輩だ。敬語は使われているものの、イマイチ敬われている感じがしない。立ち止まって考えだす私を奇妙なものを見る目で見つつ、溜め息を一つ落とした。どうやら彼は私が苦手らしい。溜め息をつかれてしまっては会話を振るわけにもいかずに無言のままアジトまで歩く羽目になった。肩にかかったバッグが異常に重く感じた。


■ ■ ■


じめじめとした地下の実験室。イタチさんを当てられた部屋に案内し終わった私は大蛇丸様の部屋にいたのだが、何分退屈だったために実験室にきていた。実験室と言っても軽いトレーニングならできるから、そちらが目当てである。腹筋や腕立て伏せをして時間を潰す。

「名前」
「大蛇丸様!お帰りなさい」
「イタチくん、どうだった?」

その言葉に顔をしかめた私から察したのだろう。甘やかすように頬をなでる。暗い実験室のなかで野望に燃える大蛇丸様の目だけが爛々と光っていた。これからあの男とツーマンセルなんて気が重い。大体、私の十八番は先入捜査であって戦闘はイマイチだ。そこで、何故リーダーが私とイタチさんを組ませたかを考えると、多分大蛇丸様が推したんだろうな。大蛇丸様が嬉しいなら私も嬉しいが、今回ばかりは私にできることは無さそうだ。

「恐ろしく嫌われてしまいました……」
「肉体奉仕でもしなさい。得意でしょう」
「……」
「上手くいけばあの写輪眼が手に入るわ」

大蛇丸様すごく嬉しそう。だが、よりによって天才と名高いイタチさんが暁に入ってくるとは思わなかった。彼にかかれば私なんか即死だろう。今更近づいた所で私の目論見なんかバレバレな気がする。はっきり言って、イタチさんなんかに興味はないが、強いていうなら彼の血には興味がある。というか下手したら襲いかねないほど芳醇な匂いがしていた。私があの少年を食した後で無ければ襲っていたかもしれないぐらいに。

大蛇丸様の後に続いて自室に向かう途中、暁の外套を羽織ったイタチさんとすれ違ったが、お互い何も言わなかった。

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