世界は永遠に続くのか? | ナノ


世界は永遠に続くのか?



「ブン太、いい子にしてた?」
「ゆきむらくん……?」

扉が開いた音がして、真っ暗な空間に光が差した。
目が慣れなくて姿は見えなかったけど、足音と声で誰だかわかる。
と言っても、この部屋に他の人が来たことは一度もないけど。

「おかえり、今日は早かったんだな」
「うん、早くブン太の顔が見たくてね。俺がいない間に変わったことはなかった?」
「なかったよ、いつも通りだったぜい」
「そう、ならよかった」

以前はよく見せてくれていた笑顔を見ることがなくなってどれくらい経つだろう。
最近はずっと感情を感じさせない微笑みを貼り付けたままだ。

「そうだブン太、おなか空いただろ? そろそろ夕ご飯にしようか」
「……うん、」

ここの生活に不満はあまりないけど、このご飯の時間だけはいつまでも慣れない。
手も足も使えないからしょうがないんだけど。

「ブン太お待たせ。最近寒くなってきたからね、今日はシチューにしたよ」
「そういえば、寒くなってきたかも。ゆきむらくんのシチュー好きだから嬉しいぜ」
「それはよかった。ほらブン太、あーん」
「……あーん」

食事は、こうしてすべて幸村くんに食べさせて貰っている。
恥ずかしいとか申し訳ないとか、いろいろ考えてしまって、いつまで経っても慣れる気がしない。

「ごちそうさま、ゆきむらくん」
「ふふ、お粗末様、美味しかったかい?」
「うん、美味かったぜい、さすがゆきむらくん」
「そんなに褒めても何も出ないよ? でも、明日の朝ご飯も期待しててよ」
「ありがとう、ゆきむらくん」

いつからここで過ごしているのか、いつからこうなってしまったのか。
そんなことは何も覚えてなくて、今の生活だけがここにある。
これからもずっとこのままかな、とか考えてたら、とっくに出なくなったはずの涙が流れた気がした。



140924
ヤンデレちっくというか狂気。
幸丸は暗いのが似合いますね?
そしてタイトルが無駄に長いという。