僕だけの | ナノ


僕だけの



※高校設定


「せーいち、」

付き合ってからもう2年も経つというのに、未だに名前で呼ぶことに慣れないらしい岳人は、初めて名前を呼ばれた時から変わらず舌っ足らずな言い方をしてくれる。

「岳人、どうした?」
「えっと……ううん、呼んだだけ!」

これがブン太だったら五感を奪ってるところだけど、岳人だと可愛く思えるんだから不思議だ。

「ふふ、いたずらっ子な岳人にはお仕置きが必要かな?」
「え、やだやだ! せーいちのお仕置き、絶対辛いだろー!」
「そりゃあお仕置きだからね、岳人が辛いって思わなきゃお仕置きにならないよ」

岳人はこないだのお仕置きを思い出したのか、身震いをしていた。
何をしたのかはご想像にお任せしようかな?
まあいじめるのはこれくらいにしておかないと、岳人が可哀想だね。

「ふふ、冗談だよ、お仕置きはしない」
「ほ、ホントに?」
「本当、岳人に嘘はつかないよ」

冗談は言うけど、と頭の中で付け加えておく。

「岳人があまりにも可愛いことを言ってくれるからね、思わず意地悪したくなっちゃった」

本音を溢すと、岳人は一気に頬を真っ赤に染め上げてくれた。
この、ころころとよく変わる表情に俺は惹かれたんだ。
こんなに可愛い姿を独り占め出来ることに、とてつもない優越感を感じる。
もっといろんな表情を、俺が引き出したいと思うのは当然のことだと思う。

「岳人」
「なに? せーいち」
「ふふ、呼んだだけだよ」

同じことをしてみたら、ほら。
さっきまでとは違う顔を見せてくれた。





140220
書き初めはいつだったか、すごく昔な気がする←
久々の幸岳です。
いちゃらぶさせたかったです。