芽生え | ナノ


芽生え




向日葵。

それが、芥川慈郎を表すのに最も適していると思う。
起きている間は一心不乱に太陽を目指し続け、満開の笑顔を咲かせる。

なぜ、こんなことを考え始めたのか……、それは、数日前にジローに言われた一言からだった。


「ねぇ、跡部ってさ、太陽みたいだよね」
「いきなり何を言い出すんだテメェは」
「みたいって言うか……太陽そのもの?」
「だから……ったく、俺様にもわかるように話せ」
「いつも必ずどんな時でもオレたちの上にいて、光になってくれるじゃん?」

確か、こんな会話をしたのだったか。
それからというもの、ふとした時に考えるようになっていた。

以前から、漠然と考えていた。
あの笑顔は、向日葵が咲いたようだと。
そこにきて、ジローのあの発言である。
否が応にも考えてしまう。

「太陽みたい、か……」

向日葵が目指すものは、太陽。
そして、あの満開の笑顔は、太陽だけに向いている。

「なるほど、悪くねぇな」

小さな笑みを一つ零して、跡部は部室を後にした。
芽生え始めた感情には、まだ気付いていない。






130518
跡部から見たジロー
ジローから見た跡部
こうだったらいいなを詰め込みました。