「ねーねー岳人聞いた? ロシアに隕石落ちたんだって! すごE!」
「聞いた聞いた! すげーよな、隕石ってホントに落ちるんだな!」
ロシアに、隕石が落ちたらしい。
今氷帝ではその話題で持ちきりで、あっちでもこっちでも隕石の話ばかり。
それはこのテニス部も例外ではないらしい、ジローと岳人が真っ先に食いついていた。
「なあなあ、日吉も聞いたか? 隕石落ちたの!」
「もちろんです向日さん」
日吉もこの話題には参加していて、ジローや岳人に負けず劣らず楽しそうだ。
あまり感情を表に出さない日吉にしては珍しく、見た目からはっきりとウキウキしているのがわかる。
「あ、跡部! 跡部は隕石落ちたの知ってる?」
跡部が部室に足を踏み入れた途端にジローが質問を浴びせる。
「ああもちろんだ、隕石の欠片の入手も考えてる」
言いながら部活の仕度をしていた跡部は、不思議そうなこちらに気付いて近付いてきた。
「萩之介、お前はどうなんだ?」
「知ってはいるけど……、珍しいね、跡部がそこまで興味を示すなんて」
「まあな、滅多にないことだからな」
それに、と言いながら跡部はこちらに手を伸ばす。
少しビクッとなってしまって、跡部は小さく笑った。
「好きだろ、こういうの」
頭を撫でながら、至近距離で跡部が囁く。
耳に吐息がかかって、咄嗟に俯いたけど、跡部にはきっと顔が赤いのも全部お見通しなんだろうな。
「よく、わかったね」
「お前のことだからな」
見透かされてる、って思うよりも先に、嬉しいと思ってしまって。
これではまるで恋する乙女じゃないか、なんて思いながら、あながち間違いでもないと気付く。
それでもやっぱり悔しくて、みんなからは見えないように跡部のつま先を少しだけ踏みつけた。
130221
2013年初は跡滝でした。
いやー、なんか今までのスランプが嘘のようにすらすら書けてしまった…
現地の被害が一刻も早く復旧しますように