学校が違うため、久しぶりに部活の休みが重なって会えた休日。
二人は、長閑な公園にピクニックに来ていた。
適当に良さそうな木陰を見つけて、観月が用意してきたレジャーシートを広げてその上に二人並んで座る。
「たまにはこういう静かなとこでのんびりするのもいいよな!」
「んふっそうですね。普段はお互い賑やかな場所にいますからね」
「まあそれでもなんか落ち着くんだけどなー」
久しぶりなため、言葉はどんどん出てきた。
岳人が学校であった面白話をしたり、観月がうんちくの名のもとに無駄な知識を披露したり。
それは、二人にとってとても心地好い時間だった。
ふいに、岳人が言葉を切って観月にもたれ掛かった。
「向日くん……?」
「俺……さ、観月に会えて、こうやって二人でいれて……本当に、良かったって思う!」
岳人がはにかむような笑顔で言い切ると、観月もまたなんとも幸せそうな表情になった。
「それはまた……、嬉しいことを言ってくれますね」
「なぁ、観月は……? 観月も、そう思ってる?」
「ええ、僕ももちろんそう思っています。だから……」
観月はそこで一度言葉を区切ると、岳人の額に自分の額をコツンと重ね合わせた。
「名前で、呼んでくれませんか……?」
「な、まえ……で……?」
「ええ、観月ではなく……はじめと……」
観月が囁くように言うと、岳人は耳まで赤くして、あ、ともう、ともつかない声をあげた。
「は……はじ、め……?」
岳人が恥ずかしがりながらもなんとかそう呼ぶと、観月はとても満足げな顔になった。
「んふっありがとうございます……岳人」
「! ……名前……」
「ええ、貴方が名前で呼んでくれたので僕も名前で呼ぼうと思いまして。ダメですか?」
「別に、ダメじゃ……ねぇけど……」
「けど、なんですか?」
「……くそくそ、恥ずかしいんだよ!」
いつも名前で呼ばれているため、慣れてはいるはずなのに、観月に呼ばれるとまた違うようで、今までよりも更に赤くなってしまう。
「貴方は本当に可愛い人ですね」
そんな岳人の様子に、観月は目を細めて、
長閑な公園に、小さな音が響いた。
111209
放課後で一緒にいたので、つい←
私的にはどちらも受けなのですが、書いてみたら観月さんが意外と男らしくなりました
多分どマイナーにも程がある感じ