※「
決意の日」の続き
本来出れるはずのない全国大会は、開催地枠として特別に出場が決まった。
その事に素直に喜べない部分もあったが、決まったからには全力を尽くすだけだと部活以外で練習も二人でいっぱいした。
だけど。
「なんで……俺がシングルスなんや」
「確実に勝てるオーダーを組んだ、それだけだ」
「確実にてなんや……俺らはずっとダブルスでやってきたんやで……!」
「侑士!」
「オーダーの変更は認めない。以上だ、行ってよし」
普段、滅多なことでは声を荒げない侑士が、ましてや監督に向かってなんて、その場にいた誰もがびっくりした。
しかし同時に、侑士にとってはそれ程大事な事なのだと理解した。
その日の帰り道はどことなく暗い雰囲気で、俺達の間には長い沈黙があった。
どうにかしてその沈黙を破りたくて、話したいことも見付からないまま声をかけた。
「侑士……」
「しゃーない、わな……青学には一度負けてるんやもんな……」
「でも……でも……!」
「がく……、あん時の約束、絶対に忘れへんし叶えてみせるで……!」
やっぱり、侑士は強いと思う。
さっきまで落ち込んでいたのに、もう光を取り戻している。
「そのためにも、青学戦絶対に勝って…高校でレギュラーとろうな、岳人!」
「そうだよな……こんなとこで、落ち込んでなんてられないよな……!」
「せや、俺らはダブルスで頂点目指すんやからな!」
侑士のおかげで、俺も光を見失わずにすみそうだ。
そう、俺達は二人でダブルスの頂点を目指すのだ。
そのためには、こんなところで躓いてなんていられない。
「ん、よし吹っ切れた! ……あ、そーだ侑士、俺青学戦勝つためにこれからしばらく日吉と練習するからよろしく!」
「え、岳……?」
「侑士もシングルスの練習頑張れよ! じゃあなー」
「岳人……!」
俺は一回復活しちゃえば早いから、こうやって冗談とかも言える。
でもちょっと侑士が可哀相かな。
「まあでも、俺の相棒は侑士だけだからな! ……じゃあなっ」
紛れも無い俺の本音だけど、ちょっと恥ずかしくなったから振り返らないで走った。
侑士の顔が見れなかったのはちょっと残念だけど、でもこれで、俺らはまた今まで通りやってけると思う。
全国、絶対勝とうぜ!侑士!
111010
そんなわけで、続いてるような続いてないようなお話です
相変わらず暗いですが、希望が見えてればいいなと
新テニでまた二人のダブルスが見れると信じて!