◎2011岳人誕生日仁岳
正直不安はあった。
誕生日だからってわざわざ来てくれるのかとか、そもそも覚えてくれてるのかとか。
でも自分から誕生日に会いたいなんて言えなくて、ここ数日岳人は不安を抱えていた。
そして、当日。
案の定朝から連絡は一切なくて、もしかして、と思った校門にもあの目立つ銀髪はいなかった。
でも家の前にはいるかもしれない、と最後の希望を持って小走りで帰ってみるも、家の前にもいる気配はない。
「やっぱり…いない、か…」
「誰がおらんぜよ?」
「…え?」
今の今まで探してたヤツの声が聞こえた気がして周りを見渡してみるも、サラリーマンの姿しか目に入らない。
「…って、まさか…」
「プリッ」
「やっぱり…!このサラリーマンよく見るなって思って…って違う、そんなことより…!」
「なんじゃ、忙しいの」
サラリーマンから見慣れた銀髪になったヤツを軽く睨む。
「心配で…不安、だったんだからな…!」
「っ、」
「来てくれないんじゃないかって…忘れてるんじゃないかって…!」
「すまん…すまん、岳人…ちょっと驚かせようと思っとっただけなんぜよ…」
岳人は場所も気にせずに仁王に抱き着いた。
「もう、わかった…から。でも、まだ聞いてない…」
「ああ、そうじゃな…」
言いながら仁王は体を離し、手品みたいに薔薇の花束を出した。
「誕生日、おめでとう岳人」
ps.薔薇は99本ありました。意味はとこしえの愛、だそうです。
ったく、気障なヤツ!