幸せの証
「HAPPY BIRTHDAY、岳人」
「サンキュー、侑士」
言いながら、ワインの入ったグラスを合わせる。
侑士と初めてあった時にはまさかこうして誕生日にワインを傾けることになるとはまったく想像していなかった。
ちなみに成人まであと一ヶ月ある侑士のグラスの中味はぶどうジュースだ。
「もう、会ってから8年経つんやね」
「8年かぁ…、いろいろ、ホントにいろいろあったよな」
「せやね」
いまだに、毎年氷帝メンバーの誕生日や行事は集まれる限り集まっていた。
今年の岳人の誕生日は月曜だったため、氷帝メンバーのお祝いは昨日の日曜だった。
「みんなもさ、8年経っても変わんねーよな!」
「まあ、8年言うてもついこの間まで高校でみんな一緒におったからなぁ、そんなに変化ないやろ」
「まーな、俺は宍戸とか滝とはまだ大学で一緒だしな」
侑士は医大に進んで、ジローは家業を継いだ。跡部は仕事とテニスで日本にいたりいなかったり。
昨日は都合をつけて帰ってきてくれていて、跡部の家で盛大にパーティーを行った。
「せや岳人、昨日のパーティーで渡したプレゼントあるやん?」
「羽根のシルバーアクセな!あれ、デザインがまさに俺好みでさ、すげー嬉しかった!」
「あれな、実はフェイクやねん。ホントのプレゼントは別に用意してあんねや」
やっぱりちゃんと当日に渡したくて、と侑士が取り出した箱は手の平サイズの小さなものだった。
「え、これ…」
「岳人の為に選んだんや、似合うと思うで。開けてみてや?」
「うん」
侑士の表情は柔らかいのに、緊張しているのが伝わってきてしまって、岳人も少し緊張しながら慎重に箱を開けた。
「!侑士、これって…!」
「結婚は出来ないけど何か出来たらってずっと考えてたんや。それで、20歳の誕生日に指輪渡そうて思い付いてん」
「侑士っ…ありがとう…!あれでも侑士、これ二個入って…」
「ああ、それはな、お互いの指に嵌めよて思って二個なんやで。岳、嵌めてくれるか?」
「あったり前だろっ…!」
それから左手の薬指に嵌めた指輪を見ては幸せそうに微笑む岳人の姿がたびたび目撃されたとか。
110912
岳人誕生日企画空様に提出
私から言えるのは、二人とも末永くお幸せに!ってだけです
幸せな二人が大好きです!