キミに堕ちる | ナノ


キミに堕ちる



※吸血鬼パロ


「ゆーしー、腹減ったー。メシ食わせろー」

それは、いつも突然俺の前に現れた。
初めて目にした時は完全に目を奪われた。
赤い髪に白い肌、口の端から覗く八重歯。
一言で言うならば、"綺麗"だった。
恐怖とかの負の感情はまったく湧いてこなかった。

「岳人……、ええで、最後に飲んだんは先週やったか?」

岳人にとって俺の血は最高の美味なんだそうで、こうしてちょくちょく血を飲みにくる。

「そーそー、いっぱい飲んだし精力もいっぱい貰ったからな、一週間ちょー元気だった!」
「そらよかったわ」

ただ、毎回俺はそのあと丸一日死んだように寝ているのだが。

「だからさ、早くゆーしをちょーだい?」
「……っ!」

どんなにそのあとが辛くても、こうしておねだりなんかされたら断れるはずがない。理性も飛ぶ。

「ええで。好きなだけ、持ってき」
「へへ、ゆーし大好き! いっただっきまーす!」

そのうち俺は、岳人と同じ時間を生きたいと願うのだろう。
その願いが叶えられるか否か、それはすべて岳人にかかっている。
今の俺には、まだ未来は見えない。






110924
すごく暗い感じになりましたね…!
岳人は吸血鬼兼サキュバスなイメージ。インキュバスではないです
希望があったら続編も書く、かも←