不器用な夏祭り | ナノ

不器用な祭り



目の前に広がるのは生で見るのは初めての屋台。沢山並んだこの騒がしい景色そして何より、ここに俺を連れてきた奴がいつもは見せない優しい表情をしていた

「…どうだ」
「あーん?どうだって、手塚…」

ついその表情に気を取られて一瞬、言葉につまる。しかし直ぐもう一度辺りを見て言う

「面白そーじゃねぇの」
「あぁ、初めてか?」
「そうだな…知ってはいたが実際に来たのは初めてだ」
「そうか、行くぞ」

ぐぃと手を取られ歩き出す
チラリと手塚の顔を盗み見ると笑っているように見えた

そんな顔を見てふっと自分も口角が上がる

「手塚、あれは?」
「射的だ」
「あーん?あんなの簡単じゃねぇか、行くぞ」

今度は跡部が手を握って駆ける




パンパンッ


「チッ」

やってみて分かった
見た目より案外難しい。的が小さいうえに威力のないおもちゃの鉄砲だと当たっても倒れなかったりする


だが、ここは俺の眼力で!!

すっと顔に手を近づける所で横から手塚に鉄砲を奪われた


「あーん?」

体勢を低くして顔の直ぐ横に構えてパンッと打った球は真っ直ぐ飛び、的を倒した

「ぉお!兄ちゃんやるなぁ!!はい、おめっとー!!」

ニコニコと笑顔を貼り付けたおじさんが手塚に握らせたのは小さなクマのストラップ


「……。」
「どうするんだ、それ」


取れたくせに喜ぶ素振りを見せない手塚を覗き込むと、手塚は跡部の手にそれをのせた

「あん?」
「もらってくれ」
「……土産として、もらっといてやるぜ」



素直じゃないのはお互い様じゃねーの。なんて小さく呟いて笑う

きゅっと力を入れて握った




その後も焼き鳥やら焼きそばやらかき氷やらリンゴ飴やら
普段は到底食べないものを食べ、休憩を兼ねて神社の階段の隅に並んで座った


「楽しいか?」
「あぁ」

ドンと花火が夜空を彩り始める。赤、青、黄、緑…

花火の光で綺麗に輝く手塚の顔を見て笑う


「最高じゃねーの」


ふんわりと笑った手塚の顔に自分の頬が緩むのがわかった。



「来年も(一緒に来よう)。」


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相互ありがとうございます!!
いつもお世話になってます!
これからも、末永くよろしくお願いします!!!  七斗*110828


110830
うわあああ七斗様素敵作品をありがとうございますー!
こちらこそ、ぜひぜひよろしくお願いします!
そのうちコラボとか合同企画とかやりましょう!

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