夏の青春とアイス | ナノ

の青春とアイス



夏休みももうすぐ終わりを迎えそうなある日のこと。
部活も引退し、暇を持て余している二人はいつものようにストリートテニスに繰り出していた。

「あーもー、なんでこんな暑いんだっつーの!」
「せやなぁ、でもまだ続けるんやろ?」
「あったりまえ!次こそ1ゲーム取ってやるんだからな!」
「岳人なら取れると思うで、頑張り」
「むー…、くそくそ侑士!」

侑士の本心からの言葉は岳人にはからかいにしか取られなかったらしく、闘志を剥き出しにしている。
ゲームが始まってからもいつも以上に飛び跳ね、体力を使い果たしたようだった。

「あー、楽しかったけど疲れた!なんか食いに行かね?」
「せやね。それにしても岳人、今日は何時にも増して動き回ってたやん」

言外に疑問を含ませて言った侑士だったが、大体の理由は想像がついていた。

「暑いからさー、動けば暑さも振り払えるかなって思ったんだよなー…終わったあと余計暑いけどな!」
「なんや岳人らしいわ。そんな岳人に侑士クンがアイスおごったる」
「お、マジ!?」

侑士からの願ってもない提案に、岳人は瞳をキラキラと輝かせた。

「じゃあ早く買いに行こーぜっ!」

言いながら岳人は侑士の手を引いて走り出した。
いきなりの出来事に足をもつれさせかけながらも、侑士の顔は穏やかだった。

「しゃーないなぁ岳人は。ほら、あんまり走ると転ぶで!」
「だーいじょぶだって!へへっ、なんにしよっかなー、手堅くバニラ?でもチョコもストロベリーも捨て難いよなぁ…」

もう既に頭の中はアイスでいっぱいのようで、早くも大問題にぶつかっている。

「あーもー今すぐに食いたい!侑士、コンビニまで競争な!」

侑士がその言葉を理解するより早く、岳人は侑士の手を離して走り出した。

「ゆーしー!早くこいよー!」
「…ホンマにしゃーないなあ、うちの姫さんは」

溜め息を一つ零し、岳人を追い掛けるべく走り出した侑士は、やはり穏やかな顔をしていた。

110827
七斗様、相互ありがとうございます!
頂いたお題にしっかり沿えているといいのですが…
これからもよろしくお願いします!

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