その心は誰のもの?
「岳人はいつもそーしてるん?」
呆れたように聞いてくる謙也に、岳人は満面の笑みでそーだぜ!と答えた。
そんな岳人は、ソファーに寄り掛かっている侑士の足の間に座り込み、背中を侑士に預けている。
「ユウシが無理矢理やらせてるんやないやろな!」
「そんなはずないやろ?」
謙也の精一杯の噛み付きにもどこか勝ち誇った笑みで答える侑士。
(くっそ、おもんない…)
もやもやを抱えたまま、どうしてこうなったのか考える。
初めは、少しでも岳人に会いたくて、侑士の家に泊まりにきたのだ。
岳人には東京見学と偽れば案内と言う名のデートも出来るやろか、と。
しかし、その考えは甘かったのだ。
これでは、ただ二人の仲を見せ付けられているだけではないか。
どうにかしてこの状況を脱するべく、謙也は鞄を漁る。
「…お、あった!」
「ん?謙也、どした?」
「えーもん見つけたで!岳人、この飴ちゃん食うか?」
「飴?…うわ、納豆味じゃん!どーしたんだよ、これ?」
「白石の親戚が水戸に旅行に行ったお土産や言うて持ってきたんやけど、納豆はみんな苦手で誰も食わんねん。やから、岳人食うか?」
「うん、貰う!」
岳人は侑士から背中を離し、身を乗り出して謙也にキラキラした目を向けた。
「俺、納豆大好きなんだよ!サンキューな、謙也!」
「おう、」
知ってる、とは何故か言えなくて、一言返すのが精一杯だった。
侑士に目を向けると、少し悔しそうな顔をしていた。
さっきとは逆の立場に、心の中でガッツポーズをした。
110822
うーむ、vsではなくなったかもしれない…
謙也が可哀相かもしれない、ごめんなさい!
ちまくら様、こんなものでよければぜひ貰ってください!