それは、二人がまだ会って半年程の頃のお話。
「ゆうしゆうしー」
「ん、なんや?」
「それ、ちょーだい?」
そう言って岳人が指差したのは、今侑士が飲んでいたサイダーだった。
「ええで、ほい」
「サンキュー! ……んっんっ……ぷはー!」
素晴らしい飲みっぷりを披露した岳人は、半分以上残っていたペットボトルを空にすると素晴らしい笑顔で去っていった。
「ていうか……間接キスやん……」
しばらくポカーンとしていた侑士だが、気付いたとたん耳まで赤くして呟いた。
「あかん……しばらくまともに顔見れへんわ」
そんな侑士の呟きは幸いにも誰の耳にも入らず、クラスの女子には「暑さに堪えてる忍足くん」にしか見えていなかったそうな。
110815
一年夏、片想い時代の侑士。
ちなみに侑士は二目惚れといいますか、二度目に会った給水塔で惚れました。
そのことも詳しく書きたいです!