「岳人、なんであんなこと言ったん?」
岳人の髪に触れながら、侑士は尋ねた。
「あんなこと? ……って、あー……侑士聞いてたのか?」
「偶然な」
あんなこと、とは、岳人がつぐみに髪は染めてると言ったことである。
「だってよ、自毛だなんて言ったらまた珍しがられんだろ? そんで髪いじられんじゃん」
「あー、岳人その髪自慢やもんな」
岳人が振り向きながら言ったことを不思議に思いながら思い当たる理由を述べる。
「やっ、そーじゃなくて! いや、それもある、けど、そんなことよりも、その、えっと……、」
後ろを向いたまま言い淀む岳人に侑士は後ろから抱きしめて耳元で囁いた。それも岳人が弱い低音で。
「なんや岳人、俺には言えへん理由なんか?」
「っ! ちが、言う、言うからそこでしゃべんなっ……!」
「ん、しゃーない、どいたるわ……」
渋々侑士が離れると、岳人はあーとかうーとか言いながらぼそぼそ話しはじめた。
曰く、
「だ……って、髪は、侑士にしか……触らせ、たくない……んだよ」
だそうで、侑士の反応を見ようともせず恥ずかしさからかその場から走り去ってしまった。
一方、残された侑士はといえば……
「なんっ……岳人、可愛すぎや……!」
しばらくニヤけたまま固まってたそうな。
110628
というわけで、ドキサバネタでした!
まだまだいっぱいネタが落ちてたので、ちょこちょこ書くかもしれないです。