ゆめ | ナノ
04

テニス部のマネージャーになって、数日が経過した。
ここ数日でわかったことは、みんな本当に真剣にテニスに取り組んでるってこと。
それは千歳くんも例外じゃなくて、テニスをやっている時の千歳くんは本当にカッコイイと思う。
でも、だからこそ、ますます不思議になるのは、どうして千歳くんは部活になかなか来ないのか、だった。
千歳くんのことだから、もしかしたら本当に理由はなくて、ただふらふらしているだけなのかも知れないけど、私にはどうしても理由があるような気がしてならなかった。
見つけたら聞いてみようかな、まずは千歳くんを探さなきゃ。

「あ、いた、千歳くん!」
「みょうじさん。いつもいつもすんまっせん」
「それはいいんだけど…、千歳くん、聞きたいことがあるの」
「なんね?なんでも聞きなっせ」
「あのね、千歳くんはテニスがすごく上手で、大好きなんだよね?」
「そんとおりばい」
「なのに、どうして練習にあまり参加しないの?」
「それは…、痛いとこつかれたばいね」

千歳くんは、罰が悪そうな顔で弱々しく笑った。
本当は、言いたくないなら言わなくていいと逃げ道を作ることもできたけど、今はそれをしてはいけないような気がした。
無言で千歳くんを見つめていると、ゆっくりと口を開いた。

「テニスは、大好きばい。白石達も、大好きばい。あん場所は、たいぎゃ居心地のよか場所ばい」

千歳くんは、ぽつりぽつり、一つずつ自分で確かめるように、言葉を紡いでいく。
私は、黙って千歳くんの次の言葉を待つ。

「ばってん、俺には似合わん場所ったい」

そう言った千歳くんは、一瞬だけすごく痛そうな顔をしていて。
私まで、心がぎゅっと締め付けられたような感じが、した。

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