ゆめ | ナノ
03
あの日千歳くんの家に行って以来、千歳くんとはいろんな話をするようになった。
部活のこと、家族のこと、友達のこと。
それから、お昼もよく一緒に食べるようになった。
今日は千歳くんは朝からいなかったけど、まだ寝てるのかな、とか、それともお散歩かな?とか、いろいろ心当たりが思い浮かんだ。
そして、今悩んでいるのはお昼を誰と食べようかだったりする。
仲のいい子は他のクラスの子に相談があるとかで、お弁当を持って行ってしまった。
天気も良いし、一人だけど屋上で食べようか…なんて考えて席を立つ。と、後ろから驚いた声が上がった。

「うわっ!」
「え?…あ、ご、ごめんなさい!」
「ええねん、後ろから声掛けようとしたんは俺やし。それより、君みょうじさんやろ?」
「えと、うん、そうだけど…」

誰ですか?と問い掛ける声は、もう一人が来たことによって遮られ、聞く前に解決することになった。

「白石!置いてくなんて酷いで!」
「謙也なんでおるん…?ここに来るん言わへんかったやん」
「浪速のスピードスターは白石の居場所を突き止めるんも早いっちゅー話や!」
「話がややこしゅうなるから言わへんかったのに…」

呆れてるのが白石くん、自信満々なのが謙也くん。
名前がわかったら、次はなんでここに来たのかが気になる。

「まあそれはええとして…みょうじさん、最近千歳と仲ええやん?」
「えっと…お話したり、お昼を一緒に食べたりするくらいだけど…」
「それ充分仲ええやん!」

謙也くんがなぜか興奮気味に言ったけど、白石くんは完全にスルー。

「そこで、みょうじさんにテニス部のマネージャーをやってほしいんや」
「え…私に…?」
「せや。て言っても本格的なマネージャー業はやらんでもええ、ようは千歳を部活に連れてきてほしいんや」

私が、マネージャー。
私にあのテニス部のマネージャーが勤まるとは思えなかったけど、千歳くんと過ごせる時間が増えるかもしれない。
それがすごく嬉しくて、私は二つ返事で白石くんのお願いに了解していた。

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