灰かぶり娘






小さい時にお母さんは死んでしまった。お父さんは悲しんでいた。ずっと二人だけの生活だ、なんて考えていたら、お父さんには好きな人ができていた。
私はお父さんが幸せならそれでいい。お父さんにそう言うと、お父さんは笑顔でありがとうって言ってくれた。

再婚相手の人は正直苦手だった。お母さんとは正反対の雰囲気。少し怖い。
その相手には二人娘がいた。二人は私より年上でお姉さんになる。でも、あの人の子供。そう考えると虫酸が走った。

それでも頑張ろうと思った矢先、お父さんまでこの世からいなくなってしまった。

それからだ。私を今まで以上にこき使う様になったのは。
部屋の掃除。ご飯の準備。他にも数えられないほど細かい仕事もやらされる。
でも嫌ではない。家事をやるのは元々好きだったし、この人達に任せたら大変なことになるのは目に見えていたから。



「シンデレラ!こっちまだ汚れてるじゃない!」

「はい、今行きます」



『シンデレラ』
こき使われるようになってからつけられた名前。
本当はこんな名前じゃない。お母さんがつけてくれた大事な名前がある。
でも、お前にはこの名前がピッタリだ、って言われてからずっとこの呼び名。灰かぶり娘って正直嫌な気もするけど、この名前にもいい部分があるから何も言わなかった。きっと気づいてくれる人なんて誰もいない。



「シンデレラ!!ワタシの靴拭いといてって言ったじゃない!」

「あ、ごめんなさい!今すぐやります」

「もうっ!役立たずなんだから!」



こうして何も変わらない毎日が続くと思っていた。




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