はっきり言えよ!!






空中から落っこちる感じがした。ドサっとどこかに着陸すると全然知らない部屋だった。ふかふかのベッドに、きんぴかした物が少し多い。
私が関わっちゃいけない感じがする部屋だった。

少しベッドの柔らかさを体感していると、ガチャっとドアが開いた音がした。そこに立っていたのは…。



「慈郎、くん」

「あきちゃん…?」



そういうと、慈郎くんの顔は、驚いた顔から怒った顔に変わった。



「どうして何も言わないままオレの前から消えたの?変わりにあきちゃんのお姉ちゃんが来た。絶対何かあったんでしょ?」

「それは…」

「はっきり言えよ!!」



ビクっと私の体がはねた。私、お姉様の幸せは考えてたけど、慈郎くんの幸せまで考えられなかった。私のせいで、慈郎くんは怒っているんだ。私が悪いんだ。そう思うと、涙がぽろぽろ止まらなかった。



「ごめ、なさ…っ」

「〜っ!」



止まらない涙を吹いていると、慈郎くんは私を抱きしめた。



「ごめんね…言いすぎた。あきちゃんが理由もなくこんなことする子じゃないの知ってるから…すごく心配だったんだ」

「心配…?」

「そう。あきちゃん何かされたのかな、どうしたのかなって、ずっと心配してた」

「ごめんなっ」



私が言い終える前に唇が塞がった。また慈郎くんの唇が触れている。今度は私からじゃなくて、慈郎くんから。
心がぽかぽかしてくるのが心地よくて、身を委ねた。



「こういうときは"ごめんなさい"じゃなくて、"ありがとう"…でしょ?」

「ありがとう…慈郎くん」





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