ごめんなさ






なんであんなことしちゃったんだろう。慈郎くんにキスしたのは私からだし、あんな展開になったのも私。慈郎くん、私が好きだって言ってくれた。王子様だから、心なしか諦めてた自分がいたりした。なのに慈郎くんはどんどん近づいてきた。



「うぅ〜…慈郎くんやっぱりずるいよ〜…」



考えすぎて、お姉様とお母様に言われて仕事が全然減らない。また怒られるのが分かっているのに動いてくれない体。頭の中が慈郎くんでいっぱいなんだなぁ、と改めて思った。



「シンデレラ!」

「あ…はいっ」

「あんたに考え事する時間なんて与えてないのよ!きびきび働きなさい!」

「ごめんなさ」



ばちん。
叩かれた音が部屋に響いた。叩かれるなんて初めて、かもしれない。意味が分からなくてお姉様を見ると、たくさん涙を浮かべていた。



「なんで…あんたなの…っ」

「お姉様…?」

「私の方が…ずっと、ずっとずっとずーっと王子様のことを愛しているのにっ…!」



あ…私はまた何もできない役立たずなんだな…。嫌い、いつも私をこき使う最低なお姉様。だけどいつも楽しく笑っていたお姉様が泣くなんて初めてだった。



「お姉様。私…じろ……王子様のお申し出断ります」

「なんで…」

「私は…結局役立たずの存在です。家族の幸せを全て奪ってしまうダメな存在なんです。そんな私が、幸せになるなんて……いけないことだと思うんです。だから、お姉様…」



幸せになってください。
笑顔で言うと、お姉様も笑顔でやってやるわ、なんていつもの強気になった。

自分の気持ちに蓋をして、相手を優先してしまう私はもっとダメな子ですか?




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