隙ありっ! |
「じ、じじじじろう…くん?」
「イヤだった?」
「ぜぜ全然!むしろ嬉しかったです!…あ」
そっかそっかぁー、とニコニコしながら慈郎くん。あー恥ずかしい。私何言っちゃってるんだろう。
「隙ありっ!」
「きゃっ!?」
抱き締められたと思いきや、勢いがありあまって押し倒されてしまった。勢いがあるということは必然的に顔が近くなる。どうやっても慈郎くんの瞳から目をそらせない。もっと、ずっとその瞳を見ていたかった。その想いが大きすぎて、自分が何をしたのか分からなかった。
「ん…っ」
気づいたら慈郎くんの唇と私の唇がくっついていた。急いで離れた。その瞬間手をがっちり握られた。
「ねぇ、あきちゃん。オレ、あきちゃんが欲しい。ずっと一緒にいたい」
「え…?」
「あ、ごめん。オレそろそろ戻らないと!」
「ちょ、慈郎くん…!」
慈郎くんは足早にお城へと戻っていった。唇に指をあてて、あー…キスしたのか…と余韻に浸るのはいいけど、慈郎くん…言い逃げするなんてよくないよ…!