「昨日はどこ行ってたんだ?病院来てもいなかったしー!」

「ごめんね?」



いつも通り、私の様子を見に来てくれている慈郎くん。ただ違うのは、私が全部思い出してしまったこと。
話してしまうのは簡単なのかもしれない。でも、慈郎くんのあの明るい笑顔が見れなくなるかもしれない。それが怖くて何も言えないまま、慈郎くんの話に耳を傾けていた。



「弥子どうした?さっきからボーっとしてるしー」

「え?ううん!何でもないから大丈夫!!」

「もしかして!!全部思い出したりしてー…ってないよな!」



図星で少し動揺してしまった。それを見て感ずいたのか、さっきまでの笑顔が消えてしまった。嫌だよ、そんな顔しないで…お願いだから。

慈郎くんは気まずいようにうつむいたまま口を開いた。



「オレが悪いのは分かってる。弥子から離れればいいのも分かってる。でも!オレは弥子と離れたくない…!!」

「誰も慈郎くんが悪いなんて言ってない!悪いのは私なの!!一人で、解決し、っようと、した…私、が悪いの!!」



涙がポロポロ流れた。止めようとしても止まってくれない涙。
慈郎くんはそれを見て、そっぽを向いてしまった。

どうして自分ばかり責めるの?本当に慈郎くんは悪くないのに。



「ねぇ、慈郎くん…っ!そっち向いて、ないで、私の方、向いてよ。ねぇ、慈郎くん!!」

「っ!」



慈郎くんがこっちに向いたかと思ったら、私をぎゅっと強く抱きしめた。びっくりしたけど、涙もしゃくりも止まらなくて、子供をあやすように頭をよしよしと撫でてくれた。



「ごめんね!!そんな顔させるために毎日来てたわけじゃないのに。本当にごめんね…!」

「ううん、いいの。大丈夫。慈郎くん、私まだ慈郎くんが大好きだよ。ずっとずーっと、慈郎くんに傍にいてほしいの」

「…本当にオレでいいの?」

「うん」

「弥子を守れなかったのに?」

「うん」

「そっか!!」



ニカッと太陽な笑顔をまた見せてくれた慈郎くん。流れていた涙は止まっていて、私もつられて笑顔になっていた。



「弥子だいすきき!だーいすきだC!!」




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