あれから芥川くんは毎日お見舞いに来てくれた。部活終わりに来てくれてるから「疲れてない?」って聞いたら「全然!!大丈夫だしー!」って答えてくれた。
芥川くんとお話ししてて少し分かったことがあった。私と芥川くんは付き合ってたみたい。みたいっていうのは本当は使いたくないけど、記憶喪失だから曖昧なのは仕方ない。
「私、芥川くんのどこが好きだったんだろう?」
「急にどうしたの?」
私がボソッと呟いた疑問に笑顔で返事をしてくれた芥川くん。あぁ、多分この天使みたいな笑顔に惹かれたんだって思ったら、心臓が早くなった。
そして、ふっと頭の中に少しだけど何かが流れてきた。これは…芥川くん?
「じゃあオレもう帰る!また明日!!」
「あ、あの…!」
立ち上がって帰ろうとする芥川くんを思わず呼び止めてしまった。別に何か言おうとして呼び止めたんじゃない。ただ、頭の中に出てきた芥川くんが気になってしまったから。
芥川くんがこっちを見て「なーにー?」と言いながら首をかしげていた。私は、頭の中にいた芥川くんに言っていたみたいに、目の前の芥川くんにこう言った。
「慈郎くん、また明日!!」