逃げ道はどこにもない
―――――――――




「で、また俺に相談?」

「うん」



本好くんの家にお邪魔している私は、昨日あったことを話してしまった。だって、他に相談できる相手がいないんだもん。美っちゃんがいるけど話すのは恥ずかしい。



「…本好くんも安田と同じ考えなの?」

「そんなことないよ」

「どうして…?」

「だってなに無理させたら俺が嫌なんだ。あと、なは俺のところに来てくれるって信じてるから」




どうしてそこまで自信満々に言えるのだろうか。少し照れながら曖昧な返事をした。

やっぱり様子が変だったのは安田だけだったんだ。本好くんはどこも変じゃなかったし、いつも通りに相談に乗ってくれた。



「でもさ、俺も安田みたいになったらなはどうする?」

「え…?」

「本当は、なを自分のものにしたくてたまらないって言ったら…どうする?」



耳元で囁く本好くん。心臓がばくばくいってる。だって本好くんは本好くんだよね?そんなこと言う本好くん知らない。
「ねぇ、な」と、また囁いた。こんなことになったのも全部私のせいなんだ。私がはっきりしないからだ。



「な?」



いつの間にか目から涙が流れていた。また泣いてしまった。弱虫だ、私は…。
泣いてる私に気づいた本好くんは抱きしめてくれた。私はその胸の中で思いっきり泣いた。今まで堪えていたもの全部吐き出すみたいに。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -