ずっとこのままと願う私は馬鹿ですか?
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3人でデートしてから1ヶ月近くになった。あれから発展は一切なし。きっと、私がこのままの状態がいいなんてわがままを言ったからだ。今まで通り馬鹿騒ぎできる関係に戻ったから、内心ほっとしている。
「な!な!」
「え!?あ、何?」
「何って…はぁ。最近安田くんと本好くんの様子が変なのはあんたのせいなの?って聞いてたのに、人の話聞かないし」
「ご、ごめんなさい…」
「で、なのせいなの?」
「私には2人が変には見えないよ」
私がそう答えると、ともちゃんはため息をついた。でも私には普通の安田と本好くんにしか見えないだもん。
「安田くんはどう見たって変でしょ!?あんなに熱子熱子叫んでたあいつが大人しいんだよ!?」
「…本当だ」
「本好くんなんかいつも以上に美作君の話しかしないし、2人とも変なのわかったでしょ!」
「う、うん…」
本好くんは普通かも知れないけど、安田は確かに変だ。放課後一緒に帰って遠回しに聞いてみようかなぁ。そう考えながらお弁当を平らげた。
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「やばっ、遅くなっちゃった。安田まだ学校にいるかな?」
先生に色々雑用を頼まれたせいで、予定していた時間よりもかなり遅れてしまった。教室に戻ろうとしてドアに手をかけようとしたが、中から話し声がして、思わずその手を止めてしまった。
「 なぁ、安田最近どうしたんだ?熱子やAKYの話もしないしよ」
「まぁ、な…」
「もしかして、お前らの3角関係がいけないのか?」
「そうかもしんねぇ…」
動けなくなった。私のせいなんだ。私が安田や本好くんを苦しませたんだ。頭の中はそれだけになった。
「なには笑顔でいて欲しいけど、このままの状態は流石にもう耐えられないんだ。いつ本好の方に行くかもしれねぇのにこのままは無理…」
逃げようとした。その言葉は聞きたくなかった。焦っていたのか、思わずドアにぶつかってしまった。その音に反応したのか、安田が振り返って目があってしまった。
逃げなきゃ…。
後ろを向いて走り出そうとした。いつの間にか安田に捕まっていた。
「っ!?離してっ!!」
「どこに逃げるつもりなんだよ!」
「安田には関係ないでしょ!」
「…もしかしてさっきの話」
「聞いてた、聞いてました!!」
涙目になりながら何とか安田から逃れようとする。けれど、男の子にそんな抵抗は意味がない。がっちり腕を捕まれているままだ。
「どうして離してくれないの!?こんな我が儘で身勝手な私なのに…なんで!?」
「っ!!」
何が起きたか理解できなかった。私の唇に安田の唇が重なっていて、離れようとしても離れられなくて。ようやく触れていたものがなくなったと思うと、安田に抱きしめられていた。
「本当はこんなことしたくなかったんだ。でも…でも、なを俺のものにしたくてしたくて堪らないんだ…!」
その言葉に、私はごめんなさいしか言えなかった。