「せーんぱい!」
「うぉっ!?」
バスケの練習をしていた先輩の後ろから首にぎゅっと腕を回した。迷惑とかより体が勝手に動いてしまうから、毎回先輩に驚かれる。
そんな先輩も可愛い…!
「今練習中だから危ないよ!」
「大丈夫です!リコちゃんにきちんと許可もらったんですよ」
「カントクー!?」
「何ー小金井君。ちゃんと練習しなきゃ3倍にするわよ」
「それは大嫌いだからイヤ!!」
いつも用意してくれているベンチに座ってバスケ部を見る。リコちゃんは優しいから初めてあったあの日から、協力してくれるようになった。告白したのは言ってないけど…。
「…」
「あれ、水戸部先輩。休憩ですか?」
「…」
私が質問すると縦に首を振った水戸部先輩。「隣に座りますか」と聞くと微笑んで隣に座った。
会話もなく座っているだけ。別に居心地は悪くないけど、内心はどうしようか考えていた。
「やっぱりバスケの練習って大変ですか?」
「…」
「もうすぐ大会ですもんね」
「…」
会話が続かない。というか、水戸部先輩はずっと首を縦に振っているだけ。
本当にどうしよう、と悩んでいると頭に手が乗っかった。そして撫でてられた。
「水戸部先輩…?」
「…」
「ふふっ。私、頭撫でられるの大好きです」
「…」
そうなんだ、といっているような表情でにっこりと私を見る水戸部先輩。そんなに見つめられたら少しは照れてしまうわけで。私の耳は真っ赤だった。
「水戸部君!休憩終わりよ!」
「…」
「あの、」
「?」
「頑張ってください!」
「…」
最後に笑って練習に戻っていった。
先輩を探そうとキョロキョロしていると、どこにも見当たらない。もう帰っちゃったのかな?
今日はしぶしぶ一人で帰った。