『彼は小金井慎二、2-Dのバスケ部6番F。170cm、67kg』
『うひゃー…さすが桃井ちゃん。しかもバスケ部だからもっと細かく調べたでしょ』
『そうだよ。これだけあれば後は楽でしょ!早速会いに行きなさいよ!』
『ありがとう!』
これが昨日の会話。
そして今私は2-Dの教室付近を歩いている…はずだった。
見事に迷いました。まだ入学したばかりだし迷うのは当たり前だけど、きちんと確認したはずなんだけどな。
私がキョロキョロ周りを見渡していると声をかけられた。
「あ!この前の子だ!」
「っ!」
「どうしたの?こんなところで。ここは2年生の教室……もしかして、迷ったの?」
「……は、い」
先輩に会いに来たなんて言えるはずがないので、迷ったことにした。いや、実際に迷ってる途中だったけど。
「じゃあ送ってくよ!何組?」
「あ、えと、B組です」
「B組って黒子と火神がいるクラスだよな。よし、行こう!」
「また迷子になったら大変だもんね!」と言って先輩は私の手を掴んだ。何だか捕まれた腕が熱くなってきた。照れ臭くて離してほしいのに離したくない。胸が早く鼓動を打っていた。
「はい到着ー」
「ありがとうございました…!」
「どういたしまして……そういえばキミの名前聞いてなかった。お名前は?」
「みなです」
「なちゃんかー。可愛い名前!オレは小金井慎二。よろしくな!!」
「はい、小金井先輩!」
先輩と長く会話ができたり、名前を呼んでもらえたり、今日はものすごくハッピーな日でした。