「先輩帰りましょ!」
「うん」
いつも通りに部活が終わって、帰る準備をしていた時に、なちゃんに誘われた。まぁ、いつものことなんだけど。
なちゃんを待たせるわけにもいかないから、早めに着替えを終わらせて昇降口に向かった。
「ごめん、待った?」
「平気です!それに、先輩を待ってる時間も好きですから」
照れた顔でそんなことをいうなちゃん。
毎回思うんだけど、なちゃんって恥ずかしいセリフをオレに言うから、こっちまで照れてしまう。言わないでほしいけど、内心は嫌じゃない。寧ろ何だか嬉しくなってきた。
「今日の練習はどうでしたか?」
歩きながら、なちゃんがオレに質問してきた。
「今日はいつも通りだったなぁ。シュートも前よりかは入るようになった気がする」
「練習して損はないんですから、このまま頑張ってくださいね!」
「ありがとう…」
「あ、私はここで」
あっという間に来てしまったいつもの分かれ道。
今日はなんだから、いつもより早く着いた感じがする。それと、いつもより鼓動が速い。
オレは無意識になちゃんを抱き締めていた。
「!せ、先輩!?」
「…」
腕の中でなちゃんがどうしていいのか顔を真っ赤にしている。オレも内心そうだ。
でも、オレの心が離しちゃダメだって言っている感じがするんだ。
なちゃんもオレが離さないって分かった途端、大人しくされるがままになっていた。
「あの、先輩」
「何?」
「……好きです」
「知ってる…」
「…大好きです」
「うん」
何分か経ってからオレはなちゃんを離した。なちゃんは何ともなかったかのようにに「また明日!」と言って帰っていった。
何だか名残惜しい気がする。
あ、オレ今になって分かった。
この胸でたくさんの感情がごちゃごちゃになっていたのは、
「なちゃんが…好き、なんだ…」