ギィーという錆びたような音をたてながら屋上のドアを開けた。タイミングがよかったのか、屋上には誰もいなかった。
そして私はフェンスに寄りかかって座った。



「うっ…う、ひっく……」



声を圧し殺しながら私は泣いた。
小金井先輩にハッキリ『嫌い』と言われるのは、ダメージが大きかった。実はずっとウザく思われてたんじゃないかとか、私の頭の中はネガティブだった。

そういえば屋上は、私が先輩に告白した場所だと、ふと頭をよぎった。あの時先輩は、私のことを嫌いとは言わなかった。

急に変わってしまった先輩。もっと悲しくなってしまって泣き出そうとしたときに、ポンっと肩を叩かれた。
この手は知ってる。



「水、戸部…先輩」

「……」



私が名前を呼んだら、水戸部先輩は私をギュッと抱き締めて、頭を撫でてくれた。
そのせいで、私の中で制御されていたものが一気に解除されて、大声で泣き出してしまった。



―――――



「ごめんなさい…。急に泣いちゃったりして」

「…」



首を横に振る水戸部先輩。水戸部先輩は優しすぎるからこんなに頼ってしまうのかな。
ふと思い出したのか、水戸部先輩はポケットから何か出した。
よく見ると、それは小金井先輩にあげるはずだったリストバンド。



「あ、落としちゃったんだ…」

「…」

「ありがとうございます」



ムリしなくても平気だよ、というような表情で見つめてきた水戸部先輩。私は「もう平気です!」と言って屋上を後にした。

それからもう大変だった。
泣いてたのがバレたのか、教室では黒子君と火神君、家に帰ったら桃井ちゃんと青峰君に心配させてしまった。

もうバスケ部を見に行くのもやめるし、小金井先輩に会いに行くのもやめる。
これでいいんだ。





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