決めた時間から少し遅れてしまった。走って待ち合わせ場所に行くと、既に水戸部先輩がいたので、さっきより急いで走った。
「水戸部先輩!遅れてすみません」
「……」
平気だよ、とでも言っているような表情。
やっぱり優しい先輩だなぁって思いながら「早速行きましょうか」と一言言って歩き始めた。
歩きながら気になったお店に入っては見て、気に入らなかったらまた別のお店に入る、という繰り返しだった。
中々小金井先輩に似合うものが見つからない。とんとんっと肩を叩かれたかと思うと、水戸部先輩がスポーツショップを指差した。
そういえばまだ見に行ってなかった。そこなら気に入る確率が高くなりそうと思ってお店に入っていった。
「あ、これ…」
私が手に取ったのは、シンプルなリストバンド。黒い生地に、白いラインが上下に1本ずつ入っていて、6、と真ん中にどんっと大きく入っていた。
桃井ちゃんがいってたかも。小金井先輩の背番号は6番だって。これはいいものを見つけたんじゃないかな。
水戸部先輩に「これ、どうですか?」って聞いたら、微笑んでうなずいてくれた。
よし、これに決定。
レジに持っていって、ラッピングをしてもらった。
これを渡して先輩の喜ぶ顔が目に浮かんだ。
早く学校に行きたいな。