「ストレッチは念入りにしてねー」
「はーい!」
何だかもう習慣になっているバスケ部での練習。実はもうバスケ部に入部してるんじゃないかぐらい楽しんでいた。
I・Hも近いのか、最近はたくさん練習している。
「小金井先輩、今日もよろしくお願いします」
「っしゃ!やるぞ!」
「はい!」
私はいつも小金井先輩に教えてもらっている。たまに水戸部先輩にも教えてもらう。
二人とも教えるのが上手で、バスケをやっていてとても楽しい。
今は個人練習の時間らしくて、先輩はシュートの練習をしている。
「…先輩上手くなりましたか?」
「へっ!?」
「何だかシュートが入る回数増えてきてます」
「そうかな?」
「はい!私が言ってるんだから間違いはありません!」
「でも、なちゃんはまだまだだよな」
それを言っちゃおしまいですってば。
でも実際そうなのだ。バスケの練習を毎日してるはずなのに、全くシュートが入らない。結構練習してるはずなんだけどな。
「あっ!」
先輩は何か分かったのか声をあげた。
「なちゃんのフォームがおかしいんだ」、と。
確かにみんなと少しは違うような気がするようなする。猫背だからかな。
「じゃあなちゃん、ボール持ってそこに立って」
「こう、ですか?」
「そう!んでね、」
先輩は私の後ろに回って説明し始めた。説明だけならいいんだけど、何故かピッタリくっついて手取り足取り教えている。
心臓がものすごい速さで脈を打ってるせいで、先輩の説明は全然耳に入らなかった。
「っし。これなら入るかな。なちゃん、シュート!」
「は、はい」
現実に何とか戻ってこれた私は、言われた通りにシュートを打ってみた。ボールがゴールに向かって飛んで、シュッという良い音が聞こえた。
入って先輩も喜んでいたけど、私はさっきのことで頭がいっぱいだった。