「あれ、桃井ちゃんだ…」
バスケ部を見に行こうとして体育館に行くと何だか騒がしい。中を見ると私の幼なじみがいた。
「テツ君!会いたかったー!」
「桃井さん。こんにちは」
「…桃井ちゃん?」
「な!…あ、そっかバスケ部だったもんね、彼」
「どうしたの?」
ちょいちょいとこっちに来るようにと合図をした桃井ちゃん。耳元で「好きな人に会いに来たの」って言った。好きな人?あ、テツ君とか言ってた人か。
「みさんと桃井さんって幼なじみだったんですね」
「私の名前…言ったっけ?」
「同じクラスですから知っていますよ」
「そうなんだ。えっと…」
「な、この人は黒子テツヤ。テツ君です!」
嬉しそうに紹介する桃井ちゃん。本当に大好きなんだなぁ。
「じゃあ、黒子君でいいよね。よろしくね」
「はい」
「テツ君!これから遊びに行かない?」
「部活です」
「えー…」
積極的な桃井ちゃんを見て私も頑張ろうって思った。
早速先輩のもとにとことこと走って行った。
「先輩。今日も頑張りますね」
「うん。バスケ大好きだし!」
「私も……やって見ていいですか?」
「え、うん。はい、ボール!」
「ありがとうございます」
渡されたボールを手に取って、軽くバウンドをした。そしてシュートを打ってみた。
ガコン、シュッという音と同時にゴールに入っていったボール。
1回で入ったってすごくないか、私。
「す、スゲーなちゃん」
「たまたまですよ。ほら、」
私はそう言ってもう一回シュートを打った。今度はガコン、と言う音だけを立てて、ボールが落ちた。やっぱりさっきのはたまたまだ。
「ね?」
「何だかオレと一緒だね」
「どうしてですか?」
「オレってシュート打つけど入る確率はそこそこなんだよね。もっと練習しなきゃ、ね!」
「じゃ、じゃあ!私も一緒に練習させてください!」
「いいわよ」
「リコちゃん!?」
「私が許可するから好きに練習しなさい!でも、きちんと着替えてからね」
「……ありがとう!」
リコちゃんに感謝の言葉を言って、少しの時間だけ練習した。
何だかバスケが楽しくなってきたような気がした。多分、先輩がいるからだけどね。