プルルルル、と電話が鳴り出した。電話に出るとものすごい慌てた声が聞こえた。



『もしもし!?』

「お妙ちゃん…?どうしたの?」

『モコちゃんの家に遊びに行こうと思ったら家がないじゃない!今どこにいるのよ!』

「友達の家に居座させてもらってるよ。心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから」

『そう…。じゃあ今度そっちにお邪魔してもいいかしら?』

「聞いてみるね!じゃあ、また今度ね」

『じゃあね』



やっぱり知り合いには連絡しといた方がいいのかな。心配かけちゃってたから、落ち着いたらみんなに話そう。



「誰からだった?」

「友達!私の家に遊びに来たみたいなんだけど、家がなかったから慌てて電話してくれたみたい」

「そっかー…。確かに知らないまま遊びに行ったらオレも慌てちゃうなぁ。春日さんってオムライス作るの上手だね」

「そうだね。オムライスは成功する確率が低いから珍しい方だよ!私のは玉子が破けちゃってるもん」

「オレが上手に包む方法教えようか?結構上手に出来ると思うから」

「本当!?ありがとう!」



オムライスは大好きだからキレイに作れるようになれたら嬉しいな。
というか本当に山崎くんは器用だなー。私も山崎くんに負けないぐらい美味しい料理作らなきゃ…!



―ピンポーン



「あ、お客さん?」

「春日さんはちょっと待ってて。きっと荷物とかだから」

「うん」



山崎くんがドアを開けると、聞いたことある声が聞こえてきた。



「ちーっす。銀ちゃんが山崎くん家の食料奪いに来たよー」

「旦那じゃないですか!食料奪いに来るのはダメです。夕飯なら食べます?」

「おぉー!地味なのにオレの気持ちが分かるなんて地味なのに凄いねー」

「地味地味連発しないでくださいよ!!」

「お邪魔しまーす。………え」

「あ……」



逃げ隠れもできない私は、銀時さんに見つかった。



「ななな何でモコがここにいるんだぁぁぁああ!?」

「そんなのこっちが聞きたいですよ!何で銀時さんが山崎くん家に来てるんですか!」

「たまにこうして夕飯食いに来るんだよ!オレ料理全然出来ないからな!!」

「自慢気みたいに言わないでくださいよ!あぁ山崎くん助けて!」

「え!?ちょ、春日さん!?」



少し落ち着いてきたから、ちょっと簡単にまとめた説明をしてくれた山崎くん。それを真剣に聞いてるのか分からない銀時さん。
はぁ…まさか銀時さんが来るなんてしらないよ。



「はぁ…そういう事かぁ。てっきり銀ちゃんはモコと山崎くんがラブラブな関係かと思っちゃったよー」

「で、春日さんの上司が旦那なの?」

「…………うん」

「何その間!!?そんなにオレが上司だと嫌なの!?」

「山崎くん助けて…」

「おまっ…明日の仕事増やすから覚悟しとけぇ」

「すみません銀時さん。確かに上司が銀時さんなのはとても気にくわないですけど、仕事を増やすのは本当に勘弁してください」

「仕事増やすの決定」

「やめてぇぇぇええええええ!」



明日は覚悟して仕事しなきゃ…。職権乱用なんて最悪な上司だ。



「銀時さん。この事は誰にも言わないでくださいね。落ち着いたら自分から話しますから」

「分かったよ。オレはそこまで悪い奴じゃねーしな」

「はぁ……」



プライベートで銀時さんに会うのは疲れるけど、山崎くん家に居候してるかぎり我が侭は言えないよね。
はぁ…最悪…。



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