「ないんですか…」
「はい。この辺で安い物件はもう埋まっていて。部屋が空いたらお電話しますので、よろしかったら電話番号を教えてください」
「ありがとうございます。じゃあ、これが携帯の番号です」
「私が責任を持って探しますので心配しないでくださいね」
「はい!では、失礼しました」
はぁー…空いてないのか。いつまで山崎くん家に居座るんだろうか。
「ただいまー」
「お帰りなさい。春日さんどうだった?」
「やっぱり空いてない見たい…。でも空いたら私の電話で知らせてくれるらしいから、大丈夫」
「なら平気だね。そういえば春日さんに渡すものあるんだった」
そう言ってポケットをがさごそと探った。何だろうと頭にはてなを浮かべていると、手に何かを握らされた。
「これってカギ…?」
「うん。春日さんが自由に出入り出来るように作ってきたんだ」
「ありがとう…!」
「春日さんも早く新しい家が見つかるといいね」
「うん…!」
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