今日は休日。いつもの時間通りに目が覚めた。山崎くん家に来てから2日目になった。
今日は私がご飯を作る担当だ。冷蔵庫を開けて材料を見る。朝ごはんは、お味噌汁と卵焼きと白米で大丈夫かな?とりあえず、メニューが決まったので作り始めた。丁度作り終わった時に山崎くんが目を覚ました。
「おはよう!山崎くん、もう朝ごはん作り終わったから座って待ってて?」
「うん……味噌汁のいい匂いがする…」
寝ぼけながら、山崎くんは鼻をくんくんさせて歩いてきた。何か小動物みたいで可愛い…!
「こんな朝ごはんでごめんね。冷蔵庫にあったもので考えたからレパートリー少ないし…。あ、でも買い物してきちんと材料買ってくるから、夕飯は心配しなくても大丈夫だから!」
「ふふっ。春日さん、そんなそわそわしなくても平気だから!」
「私ん家の味付けだし、山崎くんの口に合わなかったらどうしようって心配で…」
「大丈夫だって!じゃあ食べようか!」
二人同時にいただきますと言った。山崎くんが食べてるところを思わず見つめてしまった。それに気付いたのか「すっごく美味しいよ!」と満面の笑みで答えてくれた。自分が作った料理を美味しそうに食べてくれるなんて初めてだから、嬉しすぎてニヤニヤしながら自分も食べ始めた。
「そういえばさ、春日さんの洋服とか必要なもの買いに行かない?丁度休みだしさ」
「でもお金が…」
「心配しないで!オレが全部買ってあげるからさ」
「……給料日になったらきちんとお返しします!!」
「オレが好きでやってることだから、返さなくても大丈夫だよ?」
「でも、」
「いいから!オレに甘えちゃいなさい!」
「…じゃあ、お言葉に甘えて」
―――――
近場にあるデパートで、必要なものを買っていった。山崎くんのお金だからなるべく安くていいやつをかごに入れた。山崎くんが「こんなのでいいの?」と聞いてきたけど、流石に贅沢は出来ないから、私は縦に首を振った。
「いやー沢山買ったね!春日さんは買い物楽しかった?」
「うん!こんなに買ってもらえるなんて…どうやってお礼をすればいいか分からないくらい楽しかった!」
「だから、お礼とかそういう話はもう終わり!これでも食べて口閉じて」
喋り終わるのと同時に飴が口の中に入った。その味は私の好きなレモン味だった。
「あれ…?私、山崎くんに好きな飴の味教えたっけ?」
「いや!ほら!高校の時に食べてたからさ!はははははは!!」
「あぁ、私ほとんど飴舐めてたからねぇ。ありがとう」
「ど、どういたしまして」
「あのね、今日は肉じゃが作ろうと思うんだ!お母さん直伝の味だから味だけは保証するよ」
「春日さんって煮物が得意なの?」
「うん。お母さんが煮物得意だったから、全部教えてもらったの。作るのは難しいけど、楽しいから好きなんだ」
「へぇー」
会話をしているうちに家に着いた。煮物は長いから早く準備しようと思って、すぐに取りかかった。
グツグツという音と同時にいい匂いも漂った。
「よし完成!」
「わぁ、美味しそう。もう食べていい?」
「うん!ご飯よそうから待ってて」
「はーい」
「はいどうぞ!」
「ありがとう。いただきます!」
パクパクと肉じゃがをどんどん食べていく山崎くん。本当に美味しそうに食べてくれて嬉しいなー。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「春日さんってこんなに料理が上手いんだね。オレ尊敬しちゃった」
「いやいや。山崎くんの方が私より上手だと思うんだけどな。手際だっていいし」
何で男の人なのに料理が上手いのか聞きたいけど、きっと一人暮らしだからだなっと自問自答した。
「さて、と。山崎くん、私お風呂借りてきていいかな?洗い物は後でやるから置いといていいよ」
「お風呂丁度沸いたからどうぞ。じゃあお皿置いとくね。オレはリビングでテレビ見てるからさ」
「じゃあ失礼します」
人ん家のお風呂はまだ慣れない。でも、足が伸ばせるお風呂なんて久しぶりに入ったもんだからうっかり長風呂してしまった。
今日買ってもらった下着と服を着てリビングに行った。
「山崎くん、長風呂しちゃってごめんね。もう上がったから次どうぞ」
「う、うん。じゃあ行ってきます」
「私は先に寝させてもらうね。明日は早く起きて新しい家見つけなきゃ…!」
「了解」
やっぱり家は安いところにしなきゃ。そう考えながら、私は眠りについた。
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