今日は休日。どこにも出掛ける予定もないから家でのんびり過ごしていた。レモン味のあめ玉を口の中でころころ転がしながらテレビを見ていた。面白いの何かやってないかな。
チャンネルを変えようとリモコンを手に取ったとき、ピンポーンとチャイムが鳴った。宅配便かな?
「はーい」と返事をしてドアを開けると、そこには沖田さんがいた。
「沖田さん?」
「他に誰に見えるんですかィ」
「お仕事は?」
「山崎に押し付けたでさァ」
「…そうですか」
立ち話もあれだから、沖田さんを部屋に入れた。きっと何か用事があって来たんだよね。
台所に行き、コップにお茶を注いで沖田さんの前に置いた。
「どうしたんですか?」
「オレの気持ち、分かってくれたんですかィ?」
「え、あ…」
急に聞いてくるなんて思わなくて、一瞬意味がわからなかった。
きっとじゃなくて確実に沖田さんの気持ちは私のことが好き。
どうやって返事をすればいいかわからなくて、縦に首を振った。
それを見た沖田さんは読み取れない表情で「そうですかィ」と一言言った。
「沖田さん?」
「どうせモコのことでさァ。きっと返事はノーなんだろィ?」
「…」
思わず黙ってしまった。ここで黙れば肯定してるのと同じなのに。
「沖田さんのことは好きですけど、これは友達として好きだと思います」
「これからは?」
「それは…まだ分からないです…」
「それが聞けてよかったでさァ」
沖田さんは「お茶どうも」と言って帰る支度をし始めた。
玄関まで向かい、靴を履いて、ドアノブに手をかけようとしたときに、沖田さんは手招きしてきた。私は言われたまま沖田さんに近づいた。沖田さんは顔を私の耳元までもってきてこう言った。
「これから覚悟しとけよ。モコ」
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